配分額 *注記 |
26,390千円 (直接経費: 20,300千円、間接経費: 6,090千円)
2006年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2005年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2004年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
|
研究概要 |
極東ロシアのカムチャツカ半島,アムール川流域,サハリン,シベリアのバイカル湖畔コトケリ湖において,採取した堆積物の花粉分析結果(11地点)を基に,極東地域からバイカル湖地域の植生変遷を解明した。最終氷期の後半の3万年までのMIS3期では,サハリンではエゾマツ,グイマツ,ハイマツなどの優勢なタイガが発達していた。アムール川流域では,グイマツやトウヒ属が散在し,カバノキ属,ハンノキ属,イネ科などの優占する植生であった。最終氷期最盛期には,サハリンでは,グイマツ,ハイマツ,カバノキ属などの落葉タイガに草本群落の伴う植生に移行した。カムチャツカ半島では,イネ科,ツツジ科,カバノキ科などからなる低木ツンドラが認められた。アムール川流域では,カバノキ属,ハンノキ属,イネ科,ヨモギ属が優占し,北部ではグイマツ,南部ではトウヒ属が疎林状に伴っていた。 完新世初期には,サハリンではエゾマツとカバノキ属が優勢となり,常緑タイガが再び形成された。アムール川流域では,8,000年前からコナラ亜属,ニレ属,クルミ属などの落葉広葉樹が優勢になる。北海道でも同じ時期に,落葉広葉樹が優勢となり,トドマツがこれに伴う針広混交林が形成された。カムチャツカ半島やマガダン周辺の沿岸域では,完新世を通じてカバノキ属,ハンノキ属にハイマツの伴う落葉樹林が発達している。完新世で,さらに特徴的なことは,アムール川流域,サハリン北部で完新世後半にトウヒ属の占める割合が増加していることである。また,アムール川流域でのチョウセンゴヨウの増加は完新世晩期の約2000年前以降である。カムチャツカ半島の内陸部では,完新世晩期の3000年前にグイマツが,2000年前にトウヒ属が増加した。
|