研究課題
基盤研究(A)
1.背景:熱帯・亜熱帯地域のインフルエンザ疫学が不明のままであり、新型インフルエンザ発生候補地の中国南部と国境を接するベトナムにおける疫学的検討が重要であることより、本研究を開始した。2.目的:1)サーベイランラン網構築による熱帯地域におけるインフルエンザ疾患疫学調査と新型インフルエンザ発生の早期把握、2)アマンタジン耐性インフルエンザ発生の疫学調査、3)ベトナム固有で原因不明とされる急性呼吸器症候群の疫学的解明、4)ワクチン接種事業開始への基礎資料作成。3.結果:2004-2008年間に、ハノイ、ホーチミン、ニャチャン、タイグエン4カ所を基点とする全国サーベイランス網構築が、検査室の人材育成も併せて完成された。本研究の最大目的とされた高病原性鳥インフルエンザA/H5N1が本研究開始と同時期にベトナムから発生し、現在パンデミック発生が危惧されるが、整備してきた相手研究室がその中心となる貢献をしている。ベトナム固有で原因不明とされる急性呼吸器症候群は、インフルエンザウイルスを主とし、アデノウイルス、エンテロウイルス、RSウイルス等の多種類のウイルスが関与していることを明らかにした。研究の焦点としたインフルエンザ発生は年中見られ、6-9月と12-2月の二つのピークを示し、将来のワクチン接種時期として、流行が始まる3-5月が最適と思われた。特にH3N2は2005年5月以降に高頻度にアマンタジン耐性を示し、日本、米国、豪州と同様にHA遺伝子の2カ所に特異的な変異を持つClade Nに属した。A/H3N2はA/H1N1よりもHA遺伝子の遺伝子進化速度が速く、特にA/H3N2のHAは年々変化しているにも関わらず、NA遺伝子は数年間同じ遺伝子の挿入がみられ、M遺伝子で数シーズン前の遺伝子と同じ遺伝子が再度組み込まれるなど、各遺伝子の独立した組み替えが示唆された。遺伝子再集合は、多いとされるA/H3N2だけでなくA/H1N1でも見られた。以上、目的とした殆どの項目へのほぼ満足できる成果が得られた。
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