研究課題
基盤研究(A)
(1)アジアにおけるHIV流行の分子疫学研究われわれは、アジアのいくつかのサイトにおけるエイズ流行と他地域あるいは異なるリスク集団における流行との関係を解明するために、分子疫学的解析を行い、次のことを明らかにした。中国においてはIDUと供血による感染者(FPD)、性感染者の間に緊密な相互関係が観察される。特に、中国内陸部のFPDの間の悲劇的outbreakに関係するHIV-1サブタイプB'が、異性間感染によって一般集団に急速に広がりつつあることが明らかとなった。このことは、特に一般集団を標的とするエイズ感染予防対策の重要性・緊急性を示すものである。一方、HIVの遺伝子型分類は時間の経過と共に非常に複雑性を増している。世界流行の最も主要な流行株であるHIV-1グループMは現在11種のサブタイプ・サブサブタイプと34種にのぼる組み換え型流行株(CRFに分類されるが、われわれは、流行が拡大しているアジア諸国の一つであるマレーシアにおいて33番目のCRF(CRF33_01B)を同定した。CRF33_01Bは、我が国研究機関が報告し、国際的データベースから正式に承認されたはじめてのCRFであると言う意味でも重要である。(2)エイズ発症に影響を及ぼすウイルスおよび宿主側因子に関するアジアをフィールドとする研究エイズ発症速度は様々な要因によって大きな影響を受けるが、その中で重要なのは、ウイルス側と宿主側の遺伝学的要因である。われわれは、アジアの長期未発症者の中に、非欧米型のウイルス(non-サブタイプB)のウイルス株(CRF01AE)ではじめてnef-LTR領域の欠失変異による発症遅延症例を見出した。一方宿主側要因としては、塩田班員のグループは、タイをフィールドとする研究の結果、IL4-589TおよびRANTES-28Gの2種の遺伝子多型がエイズ発症に防御的に働くことを確証した。これらの研究成果は、アジアにおけるエイズ流行の起源、その成り立ち、伝播の様相、またその背景にある様々な要因を明らかにすることによって、この地域におけるエイズ予防・制圧に向けた取り組み・研究推進に重要な基礎情報を与えるものと期待される。
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