研究概要 |
医用画像処理を計算グリッド上で実現するためのグリッドミドルウェアに関する研究に取り組んだ.特に,有望な実行形態として下記の2種類に着目した. 1)複数のPCクラスタを統合する形態(サーバグリッド) 2)遊休状態の計算資源を活用する形態(デスクトップグリッド). 前者の研究項目では,グリッドの標準ミドルウェアとして広く用いられているGlobus Toolkit 2(GT2)を用い,GT2と互換性を持つ計算資源管理手法を開発した.開発した手法は,GT2では扱うことが難しかった,10秒程度の短時間で実行時間を終える医用画像処理に対処できる.また,開発した手法を用い,グリッド環境に適応させた医用画像処理アプリケーション(2次元/3次元位置合わせ)をグリッド上で実行させた結果,ジョブの投入から計算結果を得るまでの時間を30秒程度に抑制することができ,グリッド支援による医用画像処理を実現できた. 一方,後者の研究項目では,近年性能向上の著しいGPUに着目し,GPUを計算資源とする遊休計算型のグリッドミドルウェアを開発した.特に,CPUの代わりにGPUを計算資源とする際の固有の課題として,GPUにおける遊休状態の度合いを監視するための機構,およびより適切な計算資源を選択するための性能指標に着目した.監視機構については,ビデオメモリの使用量を監視することにより,外乱の低い監視を実現できることを示した.性能指標については,指標を確立するための予備実験を行い,ベンチマークに基づく手法を開発した.
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