配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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研究概要 |
本研究は,音声生成と音声知覚の密接な関係を示す一例として「聴覚フィードバック」を取り上げ,知覚・生成の相互作用の解明を図ることを目的としている.実験では,聴覚フィードバックに摂動を与え,摂動が音声生成系にどのように影響を与えるかについて測定した.具体的には,音声資料として,中国語母音対[i]-[y]と日本語母音対[e]-[a],[e]-[i],[e]-[u]を採用し,発話者が母音対の最初の母音を継続的に発話している途中で,摂動として2番目の母音を聴覚にフィードバックさせた.そして,発話音声のホルマント周波数,発話に関わる筋肉の筋電(EMG)および舌運動(EMA)の変化を測定した.測定の結果, 1.被験者の摂動への反応は摂動の方向と反対方向であり,発話において摂動に対する補正が行われていることが確認できた. 2.ホルマント周波数分析から,第1,第2ホルマントにおいて明確な補償動作が観測された.これは,スペクトルに関する聴覚フィードバックにおいて短時間での補正反応を捕らえた初めての結果である. 3.EMGおよびEMAの分析結果から,摂動に対してこれを補償するような筋肉および舌の動きが観測された. 4.補償動作は,摂動開始から約150msで始まり,290msで最大値に到達した. これらの観測結果から,聴覚フィードバックは発話時に頻繁に起きていること,そして,発話者はリアルタイムで自身の発話をモニタリングしており,摂動によって生じた「誤り」を補償しようとしていること,が示唆された.
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