配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 14,300千円)
2006年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2004年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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研究概要 |
本テーマの究極の目標は,聴取者(音声研究者ではない一般市民を想定)が聞き取って記憶している特定の発話者の「音声言語の総体」を,音声合成の手法を用いて近似よく再現する「音声モンタージュシステム」の実現にある.本助成期間では,6つの部分課題について研究を進め,声質の再現に重点を置いた実証的なシステムを構築することを目的としている. 以下に,部分課題((1)〜(6))について,本助成期間での研究実績を述べる. (1)言語表出の研究:声質を含めた声に関する日常表現語を1,102語に集約した. (2)表現語の音響関連量の研究:合成の難しい「声年齢」について研究を進めた.基本周波数の変動軌跡や話速など,影響を及ぼす音響関連量を抽出した. (3)発話音声の記憶に関する研究:母語-外国語に着目した記憶実験を行った.声質の記憶は言語による影響を受けずに保持されることを示した. (4)音声の呈示手法に関する研究:呈示手法の基礎研究として,視覚情報との統合などの実験を行った.視聴覚情報に相互作用があることなどを確認した. (5)合成音声の類似度評定の研究:個人性保持を考慮した評価実験を行った.音声としての類似度は保たれているにもかかわらず,個人性情報は失われることを確認した. (6)柔軟な音声合成技術に関する研究:ARX分析合成法に改良を加え,より柔軟な合成を可能とした.GUIを作成し,直感的な操作を可能とした. 以上の部分課題の成果を統合し,声質に着目した実証的なシステムを構築した.その過程で,記憶音声の基本周波数変化は小さいなどの知見が得られた.声質に限れば,記憶音声の再現は可能であると考える.しかし,声質だけでは個人性を含めた「音声言語の総体」の再現に限界が見られた.部分課題(1)(言語表出の研究)について,さらに深く研究を進める必要がある. なお,本助成で行った研究は,まだ多くの未公表の成果があり,引き続き,検討を深めた上で公表する予定である.
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