研究概要 |
絵画描画は,学習対象を容易には記号表現できない.そして,描画するときに,腕を動かす必要があり,筆運びの上手下手によって,成果物の絵のでき具合が左右される.このように,学習に身体動作がかかわる技をスキルと呼ぶ.スキルと呼ばれるものには,絵画描画を含む芸術作品の作成のほか,ものづくりや,成果物を生成しないものではスポーツもスキルに含まれる.これら,不キル全般の学習の比較分析と,その中でのデッサン学習支援の位置づけ,スキルの効果的な学習,ならびに,スキル学習支援環境の構築のための汎用フレームワークについて検討を行った. そして,絵画教師の代わりに,初心者の学習者に,PCで絵画の描き方を教える学習支援環境の設計と構築を本研究の主目的とした.絵画の描画は,描く人の感性を入れると,多様化して,学習支援環境の設計が難しい.そこで,モチーフを限定し,それを忠実に画用紙上に描くデッサンをとりあげた.そして,皿とグラスをモチーフとした場合に,成果物としての陰影を含むデッサン画を自動診断し,適切なアドバイスを学習者に提示する学習支援システムを設計構築した.そして,デッサンにおいて,学習者が描いたデッサン画に誤りが含まれていた場合,それを効果的に学習者に気付かせるために,誤りを顕在化した三次元モデルを構築する手法を提案した.また,果物をモチーフとした場合の水彩画を自動診断し,アドバイスを提示する学習支援システムの設計に向けて,様々な分析を行った. さらに,学習者が正しいデッサン画を描けない場合,成果物である描き終わったデッサン画を診断対象としていたのでは,原因を特定できず,最適なアドバイスを提示できないことが多い.そこで,成果物を診断するのではなく,描画中に,(1)のモチーフの認識を支援する学習支援環境,および,(3)の運筆行動を自動診断しアドバイスをリアルタイムで提示する学習支援環境を設計した.
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