研究課題/領域番号 |
16300112
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩城 徹 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (40221098)
|
研究分担者 |
鈴木 諭 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (90294917)
佐々木 健介 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (80380616)
飯田 三雄 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (00127961)
清原 裕 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (80161602)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
|
キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / レビー小体型認知症 / 病理診断基準 / α-シヌクレイン / 病理解剖 / cyclooxygenase / 脳血管性認知症 / 神経原線維型認知症 / 脳血管性痴呆 / レビー小体型痴呆 / 有病率 / 痴呆 |
研究概要 |
久山町研究症例の剖検脳の詳細な臨床病理学的所見のデータベースを構築し、各認知症病型について以下の成果を得た。 (1)一般住民における神経原繊維変化NFTの頻度を明らかにし、神経原繊維型認知症SD-NFTの診断基準を再評価した。SD-NFTが認知症症例の約5%にみられ、4番目に多かった。SD-NFT(8例)と非認知症症例約50例の病理変化(大脳皮質の神経細胞数とグリオーシス、老人斑とNFTの出現数、血管性脳病変の程度)を定量化し、両者の違いを統計学的に検討した。SD-NFTではCA1に他の海馬領域に比べてNFTの出現頻度が最も高く、100倍視野で平均115個であった。アルツハイマー病(AD)では80個で、非認知症高齢者では37個であり、SD-NFTとADの間にはオーバーラップが見られた。 (2)COX2は非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)の作用ターゲットと知られており、NSAIDがADの発症抑制作用を有する可能性が指摘されている。そこで剖検脳の海馬標本を用いてCOX2の発現の検討を行った。非認知症例ではCA1領域のCOX2発現が弱いのに対し、CA3領域、海馬台領域、嗅内野領域では発現が強く、また加齢により発現が増強されることが確認された。さらに非認知症群ではAD型の病理変化を伴っていてもAD群と比し、COX2発現は低レベルであることを明らかにした。 (3)レビー小体型認知症(DLB)の臨床神経病理学的データを集積し、2005年に改訂された最新の診断基準の妥当性を検証した。新診断基準では、AD病理変化とLB病型との組み合わせにより、DLB likelihoodをNo、Low、Intermediate、Highの4段階に分類し、合併するAD病変の程度が強い症例を除外することが提唱された。その結果、DLBと診断された症例は旧診断時の28.8%から15.6%まで絞り込まれた。DLBの中核症状である症状の変動、幻視、パーキンソニズムの出現率とDLB likelihoodの関係を検討したところ、LowとIntermediate likelihoodの間で3つの中核症状の出現率が大きく上昇した。Intermediate likelihood以上をDLBと診断することで、新診断基準の妥当性が確認された。
|