研究課題
基盤研究(B)
これまでに、カプサイシン感受性、ホットプレートテスト及びテールフリックテストにおける痛覚感受性のQTLマッピングにより、染色体の2番、7番、8番、10番と18番上に痛覚調節遺伝子座が存在している事を明らかにしてきた。第2染色体上に存在する痛覚感受性領域内の遺伝子の中から、候補遺伝子の探索を進めた。自治医科大学の鈴木誠助教授との共同研究により、痛覚受容体TRPV1を膜上に輸送する働きを持つ遺伝子が候補として見出された。この遺伝子には、C57BL/6とKJRとの間で多型が見出された。この多型により、受容体の膜への輸送効率が異なっているため痛覚感受性に違いが生じると考えられた。現在、その遺伝子の機能を詳細に解析している。遺伝的マッピングで見出された遺伝子座に関しては、感受性の高いC57BL/6系統の遺伝的バックグランドに感受性の低いKJR由来の遺伝子座を導入しコンジェニックマウスを作製している。現在、いずれの染色体においてもバッククロス10世代まで達し、KJR由来の遺伝子型をホモに持つコンジェニック系統を完成させつつある。今後は、これらのコンジェニックマウス系統に対して痛覚テストを行い、カプサイシンや熱に対する感受性を測定する。これまでに、コンジェニック系統作成の途中段階において、試験的にKJR由来の遺伝子座のホモ化を行い、痛覚感受性の測定を行った。その結果、第8番染色体の遺伝子座を導入したコンジェニックマウス系統では、戻し交配N4世代においても有意にホットプレートテストに対する感受性が低く、この遺伝子座が熱痛覚に関わっている事を示している。また、遺伝学的解析から、第2番染色体と第18番染色体の遺伝子座は相互作用することで痛覚感受性を大きく変化させるエピスタシスの効果を有していることが分かった。現在さらに世代数を進めており、今後遺伝子座に存在する熱痛覚関連遺伝子を明らかにしてゆきたいと考えている。
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