研究課題/領域番号 |
16300156
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
明石 満 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (20145460)
|
研究分担者 |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
木田 敏之 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20234297)
松崎 典弥 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (00419467)
渡邉 順司 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任助教授 (60323531)
網代 広治 臨床医工学融合研究教育センター1, 特任講師 (50437331)
金子 達雄 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (20292047)
菅谷 博之 東レ(株), 機能材料研究所・医療システム研究室, 主任研究員
舩木 隆文 (株)BMTハイブリッド, 研究員
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2006年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2005年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2004年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
|
キーワード | トロンボモジュリン / 抗血栓性 / 医療材料 / 高分子超薄膜 / 物理吸着 / ポリスルホン / 表面 / 産学官連携 / プロテインC活性 |
研究概要 |
トロンボモジュリン(TM)は血管内皮細胞膜に存在し、血栓形成を強力に阻害する酵素である。従来の研究では共有結合を用いてTMを高分子膜表面へ固定化し、極微量で高い抗血液凝固活性の発現することを報告してきたが、架橋剤の残存や活性の低下などが問題点としてあげられる。そこで、架橋剤を用いずに効果的に固定化する手法として物理吸着法に着目し、高分子薄膜への吸着挙動の解明からブタを用いた動物実験まで幅広く研究を行い、本手法の医療材料への応用について詳細に検討した。 ナノグラムオーダーで物質の吸着を測定できる水晶振動発振子(QCM)を用い、実際のダイアライザーに使用されているポリスルホン(PSF)膜へのTMの吸着挙動を評価した。TMは濃度に依存したラングミュア型の単層吸着挙動によりPSF膜へ吸着することが明らかとなった。また、吸着したTMはリン酸緩衝水溶液中で安定であることが分かった。さらに、PSF薄膜へのTMの被覆率はおよそ32%であり、細胞膜のTMの被覆率とほぼ同程度であるという興味深い結果が得られた。吸着したTMの活性を評価するため、プロテインC活性評価と血液凝固試験を行った。PSF表面に吸着したTMは溶液中のTMと比較しておよそ50%の活性を保持していた。赤外吸収スペクトル解析よりTMが変性していないことが確認されたため、TMはPSF膜表面ヘランダムに吸着しており、活性部位が膜表面方向を向いているTMはプロテインCと結合できず活性を示さなかったと考えられる。また、TMを物理吸着することで血液凝固時間の顕著な延長が確認され、ブタを用いた動物実験でも血液適合性の医療材料として有効であることが明らかとなった。さらに、TMの吸着に応用可能な様々な生体適合性の薄膜を調製することができた。 研究計画に従い着実に研究を推進することで、当初の目的であったTMの物理吸着挙動の解明と血液適合性医療材料への応用に関する重要な知見を得ることができた。
|