配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2006年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2005年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2004年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
本研究では,マイクロマシン技術を利用して,細胞培養チャンバ,マイクロ流路,マイクロバルブ,ナノホール・アレイなどから構成されるマイクロ流体システムを製作した.マイクロバルブはマイクロ流路内に構築され,可動部がなく,流路表面の親水性・疎水性を利用して空気圧により開閉する.神経成長因子を放出するナノホール・アレイは集束イオンビームによるエッチングを利用して培養チャンバ直下に形成され,ナノホールの内径は500nmであり神経軸索末端の径より小さい.これらの構成要素を極近傍にシステム化したので,ナノホールから培養チャンバに放出される神経成長因子の量をマイクロバルブの開閉により精密に制御することが可能になった.実際に,蛍光色素を用いた実験により,マイクロバルブの開閉によりナノホールからの薬剤放出量を制御できることを実証した.特に,放出薬剤の濃度が所望の値に達するまでマイクロバルブを開状態にした後に,その濃度に応じて最適のDuty比(開閉周期に占める開時間の割合)を選択しマイクロバルブを1Hzで連続開閉することにより,濃度を一定に保つことが可能であることが分かった.次に、製作したデバイス上に、神経細胞様に分化するPC12細胞(ラット副腎髄質褐色細胞種)を培養し,バルブ開閉によりナノホールからの神経成長因子の放出量を制御することにより,細胞の分化誘導を行うことに成功した.これらの実験を通じて,細胞の分化がマイクロバルブの開閉周期やDuty比に大きく影響を受けることが分かった.以上のような神経細胞分化の動的制御は,損傷した神経細胞を修復する再生医療やバイオニック医療への応用が期待できる.今後は,最終年度前年度応募により採択された基盤研究(B)「神経幹細胞の分化誘導のための微量薬剤放出制御デバイスの構築」(課題番号19300161)により引き続いて研究を展開して行く予定である.
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