研究概要 |
本年度は,平成16年度で構築した歩行訓練台と外乱時歩行計測実験結果を用いて,人工反射(Artificial Reflex)を有し,歩行時すべり外乱や障害物外乱に対応できる機能的電気刺激制御法の開発や歩行訓練法の模索と評価を研究開発の目的とし,本年度の研究実施によって,以下の成果が得られた. 1.平成16年度の研究で構築した神経・筋・骨格系の歩行シミュレータを用いて,計測実験によって得られた健常者の歩行時反射機能を実現した制御ブロック有する歩行制御が外乱に対応でき,外乱が発生しても,歩行シミュレータがバランスを維持し,歩行を続けることがシミュレーションにおいて確認できた.また,歩行支援のための機能的電気刺激パターンの検討もシミュレータを用いて行った. 2.健常者における歩行中外乱に対する反射機能,特に外乱発生のタイミングによって,反射反応が異なること,いわゆる歩行時反射の位相依存性について計測と解析を行った.結果,位相が異なることによって,反射反応の筋活動の潜時よりも,筋活動の大きさが顕著に違うことが得られ,機能的電気刺激で人工反射を実現していく場合,位相に応じて刺激の強さを調整する必要があることが分かった. 3.下肢麻痺者を被験者とし,機能的電気刺激を用いる歩行実験を行い,機能的電気刺激による補助が歩行時下肢の負担を軽減し,歩行の姿勢を改善するのみならず,被験者の歩行改善へのモチベーションの向上にも貢献したことを確認した. 4.補助機器システムと使用者間の相互作用によって,患者の個人差や個人運動特性の時間変化性に対応できる,相互作用に基づく学習法の提案,検証を行った.この学習法を用いて,通常歩行時のFES制御システムや歩行時外乱の検出システムの学習的構築することができた. 5.連続歩行訓練前後の歩行訓練台における歩行速度や左右対称性を評価指標として用い,訓練プロセスを評価し,歩行が改善されたことが確認できた.今後,訓練の後続効果の検証を引き続き行う予定である.
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