配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2006年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2005年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
2004年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
本研究では,脳の機能回復のために,脳に適度な刺激を与えることを目的として,力覚だけでなく触覚呈示装置により圧力分布も指先に伝達できる新しいハプディック・ディスプレイ装置を開発することを目的としている. 本装置は,3リンクマニピュレータおよび分布圧覚呈示機構を搭載するハンドから構成されている.これにより,指先と仮想物体あるいは把持した仮想物体と環境が接触したときに生じる接触力・モーメント,仮想物体表面の凹凸情報が,それぞれハンド・マニピュレータ部および分布圧覚呈示機構によって呈示される.実験では,4人の被験者に対して,本装置を用いて仮想ペグの直径を識別する,あるいは仮想ペグを穴に挿入させる作業を行わせた.圧覚呈示がある場合とない場合で,直径の識別精度および挿入精度を比較した.その結果,触覚呈示があるほうが直径の識別精度と挿入精度が向上することがわかった.とくに,把握物体の大きさを知覚する精度が2倍程度向上するという事実は,ピック・アンド・プレースを頻繁に行う組み立て作業に有効と考えられる.しかし,本装置においてはペグの姿勢変化を刺激ピンの突き出し分布の回転情報で知るため,ペグと指の接触面間で生じる回転滑りを知覚することは必ずしも容易でなく,クリアランスが小さい場合で穴にペグを食い込ませてしまうケースがあった.仮想ペグ差しのアルゴリズムでは,穴にペグが食い込むことを許しているため,一度食い込んでしまうと力覚だけの情報では抜け出せないことがわかった. 本研究の結果を踏まえて,せん段方向の触覚呈示を可能とするように改良を進める予定である.なお,主として安全性確保の問題から,研究期間中にリハビリテーションによる検証を実施することを見送った.今後,安全設計の立場から機器設計の見直しを行い,フィールドテストへと移行したい.
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