研究分担者 |
西保 岳 筑波大学, 人間総合科学研究科, 助教授 (90237751)
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (50125712)
斉藤 満 豊田工業大学, 工学部, 教授 (80126862)
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (70144566)
|
研究概要 |
運動時における過度の体温上昇は運動パフォーマンスを低下させ,その原因として高体温自身が挙げられている.一方,運動遂行に直接関わる呼吸・循環・神経系などの調節機構が過度の体温上昇により抑制される可能性も考えられが,これまでの研究によってそのメカニズムは解明されたと言い難い.したがって,この抑制されるメカニズムを複数の調節機構から明らかにすることは,体温が上昇しやすい条件下でも運動パフォーマンスを最大限に発揮できる方法を探り出す手段になる.また,この抑制が運動トレーニングにより改善されれば運動パフォーマンス向上への手がかりが得られる.そこで,本研究では過度の体温上昇に伴う運動パフォーマンス低下のメカニズムとその対策を検討した. これまで過度の体温上昇が直接,脳の活動に影響することは分かっていた.また,発汗による脱水,皮膚血流増加による運動中の心臓血管系のドリフトが運動パフォーマンスを低下させることも報告されている.本研究ではそれに付け加えて,体温上昇により筋交感神経活動の増加→筋血流量の制限,体温上昇により換気亢進→脳血流低下,が起こり,これらも高体温時の運動パフォーマンス低下を引き起こすことを示した.さらに,体温上昇に伴う運動パフォーマンス(本研究では,静的掌握運動時の筋力待続)低下が,日頃,運動を経験しているかどうかで大きく影響されること,体温上昇に伴う換気亢進程度と有酸素能力との間には負の関係があることが指摘され,過度の体温上昇に伴う運動パフォーマンス低下は運動トレーニングにより軽減されることが明らかになった.したがって,体温上昇による運動パフォーマンスの低下を防ぐためには,体温上昇に伴う呼吸・循環・神経系などの調節機構の低下をいかに抑えるかがポイントなり,それに対する運動トレーニングの有効性が示唆された.
|