研究課題
基盤研究(B)
スペインバスク政府は競技性を重視したスポーツ文化政策を目指しており、民族スポーツを純粋なスポーツ文化として扱っている。基本的にはバスク政府が各県単位に補助金を用意し、さらに県は下部組織へと援助をおこなう。民族スポーツ文化政策の具体的展開は各県(アラバ、ギプスコア、ビスカヤ)に委ねられ、またナバラ県は独自の展開として学校及び地域社会との連携を重視している。各県や地域の民族スポーツ文化志向が異なることから、特にアラバ県ではボウルス等の普及、ギプスコア県ではバスク民族スポーツ一般及びレガッタ、ビスカヤ県は民族スポーツ施設の整備などを中心としている。ナバラ県では普及現場と密接な連携をとり、着実な実績をあげている。しかし補助金交付は毎年更新されることから、積極的な展開を見せていない団体・個人などはうち切られる可能性もある。したがって、伝統スポーツ文化を維持し普及させようとする努力は個人的奉仕活動によるところが大である。バスク民族学校(イカシトラ)から始められた「学校ペロタ(イカシピロタ)」は体育の授業として受け入れられており、指導教員の確保と教材の適切な配布などが今後改善されれば教育として定着するであろう。またバスク社会一般では、儀礼などの民族性を極力排除し純粋な近代スポーツとして確立を目指している。これは民族スポーツ文化変容のモデルとして捉えられ、他の民族スポーツ文化も今後の展開を予測させる。一方、フランスバスク3地方のスポーツ文化政策は、自治体は捕預金交付のみを行い個人的普及にとどまっている。調査したインフォーマントは、イベントなどを企画して事業として民族スポーツを取り扱い、個人収入を得ていた。また夏季守護聖人祭などでは「バスク」を前面に押し出し、観光客が期待する内容に留まっている。スペインバスクとの連携でバスク民族スポーツ文化への思い入れは深いが少数であり、後継者の育成が待ち望まれている。
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神戸外大論叢 57
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Kobegaidaironso Vol.57
神戸外大論叢 第1〜5号合併
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神戸外大論叢 56・4