研究課題
基盤研究(B)
本研究は、南極氷床のレーダ探査データの広域特性分析・情報処理を通じ、氷体内部での電磁波伝搬過程の広域特性や深度に対する特性をまず明らかにし、内部結晶物理構造、動力学的構造、底面物理構造、不純物分布構造、等年代面分布を広域に解明することを目的として実施した。研究実績の概要は以下のとおりである。研究を以下の手順にてすすめた。1.まず、研究初年度には氷床内部での電波伝搬シミュレーションの実施をした。2.上記のシミュレーターとデータ処理を両輪で実施し、氷床内部の電磁波伝搬プロセスの評価作業を実施した。3.氷床内部の物理構造の評価作業を実施し、具体的には以下の点について特に調査をした。(1)氷床内部からの電波反射で抽出できる「等年代面」の広域抽出を実施した。(2)氷床内部の電波反射の主要原因を広域抽出し、3次元力学構造の解明をする作業を実施した。(3)氷床内部の電波無反射層(通称エコーフリーゾーン)を広域抽出し、3次元力学構造の調査を実施した。4.1980年代に蓄積されたアナログ形式のレーダデータのデジタルアーカイブ化作業を継続した。特に1と2については、氷床内部の電波伝搬のモデル構築とシミュレーション、それに南極での実地測定のデータ比較検証を実施した。3については南極氷床頂上付近に位置するドームふじ基地近傍の観測データの処理をすすめ、現地の氷床内部の物理構造の総合評価作業をすすめてきた。これについては、1現地で掘削をした氷床コア信号との比較検討に続き、さらに広域のデータ処理を実施した。さらに、氷床から得られたコアサンプルをもとに、氷床内部の誘電特性の評価を実施することにより、内部での電波伝搬、反射・散乱、複屈折に対して氷床がそもそももつ特性の評価を実施した。4については昨年度開始したアナログ形式のデータをデジタル化するソフトウェアを活用し、デジタルデータの整備をすすめた。
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