研究課題/領域番号 |
16310019
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
小埜 恒夫 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所亜寒帯海洋環境部, 室長 (40371786)
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研究分担者 |
葛西 広海 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所亜寒帯海洋環境部, 主任研究員 (60371788)
西岡 純 北海道大学, 低温科学研究所環オホーツク観測研究センター, 助教授 (90371533)
渡辺 豊 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (90333640)
芳村 毅 財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所物理環境領域, 主任研究員 (20371536)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2005年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
2004年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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キーワード | 鉄 / 栄養塩 / 親潮 / 生物生産 / 親潮域 / 水塊トレーサ |
研究概要 |
通常のCTDを利用したクリーン採水技術を確立し、親潮域および混合域において年数回の鉄の反復断面観測を実施した。世界で初めて栄養塩と同一の時空間分解能で得られた、鉄濃度周年変動データの解析から、以下の事があきらかになった。 1]親潮域表層における溶存鉄の各月の海域平均濃度は、主要栄養塩と定性的に同じ季節変動パターンを示すだけでなく、硝酸と定量的に一定比(ΔDFe/ΔN=27x10^<-6>[mol/mol])を保って増減している。表層鉄濃度のピークは冬期の最大混合深度期(1-3月)であり、黄砂飛来時期(4月)とは明瞭に異なる。 2]親潮表層の冬期溶存鉄濃度はアラスカ湾より遙かに高いが、両者の亜表層域の鉄濃度も同様に異なる為に、両海域の冬期表層鉄濃度は、亜表層からのエントレインメントと鉛直渦拡散を仮定した同じモデルで再現可能である。親潮表層の溶存鉄:硝酸費も同様にアラスカ湾より高く、北太平洋中層水(NPIW)のそれと同一値をしめす。 3]これらの事から、西部北太平洋表層に存在する鉄は数年-数十年程度の平均滞留時間を持っており、したがって周年-経年変動のスケールでは、鉄の動態は主要栄養塩と同様であることが推定される。つまり大気ダストからの鉄の供給は従来の定説に反してそれほど重要ではなく、生物による取り込みと中層での再分解、そして鉛直混合による表層への回帰という海洋内部での再循環だけで、ほぼ加不足なく溶存鉄の周年変動は説明出来る。 4]春季ブルーム終了時の表層溶存鉄濃度がほぼ0.25nMで一定となる事から、ブルーム形成ケイ藻種の成育限界鉄濃度が0.25nM程度と高く、このためブルーム期には硝酸でなく鉄が主な制限栄養素になっている事が推定される。一方周年を通じた硝酸・溶存鉄プロットは鉄側に切片を持つ事から、鉄も硝酸も低濃度となる夏期には硝酸が親潮表層の制限栄養素となっている。
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