研究課題
基盤研究(B)
これまで、微生物により分されないと報告されていた「塩素を含む難分解性有機リン酸トリエステル類」の微生物分解を世界で初めて明らかにした。具体的には、以下の成果をあげた。野外試料のスクリーニングにより、難分解性の塩素有機リン酸トリエステル類であるTris(1,3-dichloro-2-propyl)phosphate(以下TDCPP)やTris(2-chloroethyl)phosphate(以下TCEP)に対して高い分解活性を有する数種の微生物を単離した。16S rRNA遺伝子の塩基配列の解析により、3株はSphingomonas属の微生物、別の3株はSphingobium属の微生物と同定された。これら6株の内、Sphingomonas sp. TDK1と命名された1株はTCEPよりもTDCPPに対して、また、Sphingobium sp. TCM1と命名された1株はTDCPPよりもTCEPに対してより高い分解活性を示した。両株の各種有機リン酸トリエステル類に対する資化能を調べた結果、両株ともハロアルキル系トリエステル類、アリール系トリエステル類を資化することが示された。しかし、TDK1株は、アルキル系トリエステル類を全く資化することができず、TCM1株のこれらエステル類に対する資化能も限定的であった。TDCPPからは1,3-dichloro-2-propanolが、TCEPからは2-chloroethanolが遊離することがGC/MS分析で示され、初発分解反応はリン酸エステルの加水分解反応であることを明らかにした。両株とも分解酵素活性の大部分が、無細胞抽出液中に存在することを明らかにし、無細胞抽出液から、当該酵素の精製を試みた。その結果、Sphingobium sp. TCM1株の無細胞抽出液から68倍まで精製された当該酵素は単量体で、分子質量は約62.7kDaと推定された。
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110006835664