配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2006年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2005年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2004年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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研究概要 |
本研究では,簡便な操作によって多数の微量液体を定量的に扱うことを可能とするマイクロデイスペンサを開発し,これを並列化してナノリットルからピコリットルの容積のマイクロ・ナノリアクターアレイを構築することを目的とした。主要な研究成果を以下に示す。 1.開発した微量液体ディスペンサーアレイの性能評価 本提案の方法は,流路径の変化を利用してバルブ機能を創出し,流路分岐構造を利用して微量液体を秤量して搬送することが可能な(可動構造が不要な)受動微量液体ディスペンサである。前者の構造は,一般には受動バルブと呼ばれ,濡れ難い(接触角が90度以上の)材料表面を有する狭隘部分が必要とされるが,本提案の構造であれば,材料の加工精度にも依存するが,接触角90度以下の濡れ易い液体と材料の組み合わせであっても,バルブ機能を有することを明らかした。これは,ヤング・ラプラス式に従って,広範囲の物性の液体秤取が可能であることを示している。 2.ディスペンサの秤取性能向上のための局所表面処理 上記のラプラス圧変化を利用したバルブを有効に機能させるためには,流路狭隘部分の構造変化を鋭角的にする(段差を明確につける)ことの他に,材料の表面物性を変化させることも有効であった。そのための方法として,疎水鎖を有するシランカップリング剤による局所修飾が有効であったが,新規な方法として,高分子微粒子をウェルに集積させた後に,材料表面に融着させる方法を提案しその有効性も実証した。この方法によれば,単に流路に微粒子懸濁液を導入するだけで,その構造に依存して表面の一部を化学的に修飾することが可能であった。 3.マルチディスペンサーを用いたマイクロ・ナノリアクターアレイの構築 マイクロディスペンサを集積化させた新規なマイクロリアクターアレイとして,2種類の薬剤濃度の変化させたスクリーニングが可能な3液混合型の2次元マイクロリアクターアレイ,アルギン酸溶液を秤取して微小ゲルを作製し,細胞スクリーニングに利用できるゲルコンパートメントアレイ,2種の液体を様々な比率で簡単に混合することのできる液体交換型のグラジエントアレイを提案し,その性能を実証した。
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