配分額 *注記 |
15,850千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 150千円)
2007年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2004年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
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研究概要 |
RNA干渉(RNAi)作用は多くの真核生物に備わった生体機構で、遺伝子発現を翻訳レベルで制御する技術として利用されている。そこでBSEに感染しないウシの生産を目的としてRNAiによるウシプリオン遺伝子の鎮静化を試みた。 ヒトU6およびtRNAプロモーターを利用した4つのsiRNA発現ベクターを構築し,6つの標的部位を選び,19merから29merの長さのsiRNAを発現させた。モデル標的として,ホタルルシフェラーゼ遺伝子にプリオン遺伝子を連結したベクターを構築し,活性の高い3つsiRNA発現系を選び,EGFP発現ベクターに組込んだ後,ウシ初代培養細胞に遺伝子導入した。培養細胞を核として体細胞核移植(SCNT)により胚を作出,移植後,1頭の生誕仔が得られた。出生子牛の大脳において,プリオン遺伝子のmRNAを定量したところ,対照の38%まで減していた。しかし,ウエスタンプロットによるプリオンタンパク質(PrP^<C>の測定では対照の約90%のレベルであった。一方,遺伝子した子牛において,導入マーカ-であるEGFPは大脳,小脳,脊髄等の全組織で発現がみられ,緑色の営光が観察された。また,当該子牛のゲナム中において,挿入したsiRNA発現ベクターの配列をPCRにより確認した。さらに,siRNA発現のために利用した2種類のプロモーター(ヒトt RNAおよびU6プロモーター)を比較した結果,ゲノムに導入されたsiRNA発現ベクターはすべてt RNAプロモーターを有するものであった。これまでに,U6プロモーターを利用したsiRNA発現に関する報告は多数あるが,t RNAプロモーターの利用に関する報告ならびにこれらの成果について国内外を含め報告例はなく,t RNAプロモーターの有用性について新しい知見が得られた。さらに,遺伝子遵入クローン胚の発育能を改善する目的で,レシピエント卵子のアポトーシスが低下することを明らかにし,クローン胚の直接移植法を開発した。
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