研究課題/領域番号 |
16330044
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用経済学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田中 辰雄 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (70236602)
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研究分担者 |
河合 啓希 (河井 啓希) 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (00276396)
矢崎 敬人 工学院大学, グローバルエンジニアリング学部, 専任講師 (10345150)
村上 礼子 近畿大学, 経済学部, 専任講師 (30411565)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2004年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | ネットワーク外部性 / スイッチングコスト / アプリケーションソフト / 離散的選択モデル |
研究概要 |
本研究はネットワーク外部性とスイッチングコストの大きさを、ユーザの個票データを使って計測、分析したものである. まず、OSについては、ネットワーク外部性の大きさは、機能・性能の向上すなわち技術革新では崩せないほどに大きい。現在のシェアの差を前提すると、シェア2位の企業が新しい機能・性能でネットワーク外部性に対抗するには、10年分の技術革新を一挙に行う必要がある。それだけの技術革新を現実に達成できるとは考えにくく、ゆえにネットワーク外部性は大きな参入障壁となっている。OS市場については参入が阻害され、競争が減退している可能性が高い。 IP電話でのネットワーク外部性は、音質・信頼性など技術革新で対抗するには難しいが、料金換算で600円ほどであり、思い切った料金引き下げを行えば対抗できるほどの大きさである。スイッチングコストも300円ほどでそれほど大きいわけではない。現状では競争が減退する恐れは無いと見てよい。 ルータについては、ネットワーク外部性はユーザによって認識されてはいるものの、測定して見るとその大きさは必ずしも有意ではない。また、有意であってもその効果の大きさはスイッチングコストよりも小さい。スイッチングコストは有意で、その大きさはネットワーク外部性を上回るが、それでも技術革新で対抗できないほどの大きさではない.全体としてルータ市場では競争政策を発動する必要性は乏しいと考えられる。 以上をまとめてみると、ネットワーク外部性による独占化傾向が生じていて、競争政策上問題なのはOS市場である。IP電話とルータについては技術革新の力を信じて、市場競争にまかせておくだけでよいということである。 この調査の目的は個票を用いての測定がどれだけ有効であるかにあった。本研究では技術革新と比較した場合のネットワーク外部性とスイッチングコストの比較がある程度可能であることが示されたと言えよう。
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