配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2006年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2005年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2004年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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研究概要 |
数学・統計学グルーの研究成果は、第一に、資産価格の推移を表現する確率過程の拡張と精緻化である。具体的には、確率過程に予期せぬショックの発生を許容するための変動要因を導入したことであり、これによりデリバティブ価格の数値計算がより強力になると考えられる。(Nagai H. and W.J.Runggaldier)第二は、取引費用を明示的に扱ったうえで最適投資の意思決定を分析したことである。(Nagai, H.(2006)ならびに,Nagai, H.(2007)) 経済学グループの成果は、第一に、スパンニング条件(spanning)について詳細に検討し、デリバティブの経済厚生機能を再確認したことである。第二に、デリバティブズ市場において最も重要な指標となるヴォラティリティの特性を、わが国と韓国の金融・資本市場で観察された実際の取引データに基づいて分析したことである。そこでの知見は、デリバティブズ価格の均衡モデルから導出されるインプライド・ヴォラティリティが、市場を取り巻く経済環境の変動に敏感に反応し、かつ将来の大きな環境変動を予見する可能性を否定できないということである。(Nishina, K., Maghrebi, N. and Kim, M.S,ならびにMaghrebi, N., Kim, M.S, and Nishina, K,) 法学グループの成果としては、デリバティブズ市場が正常に機能することの亜要性を、既存の株式市場における不正な取引を例にして示したことがある。すなわち、実際に取引されている金融資産の種類にかかわらず、正常な市場機能が求められることは言うまでもないが、とりわけデリバティブズを代表とする先端的な市場において不正な取引の弊害が深刻になることを示唆している。(吉本(2006)) 当研究プロジェクトは、デリバティブズ市場の設計と管理に関する理論的ならびに実際的な検討を蓄積して、いくつかの顕著な成果を上げることができたと考える。とりわけ、スパンニングの議論に基づいて、デリバティブズが成熟した経済における必須かつ効率的な契約手段であることを再確認したこと、さらには、その価格形成と市場のデザインに関して、先行研究が培った流れを発展させたことは特筆してよいと考える。
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