研究課題/領域番号 |
16330101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
大内 田鶴子 江戸川大学, 社会学部, 教授 (80327238)
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研究分担者 |
藤田 弘夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60156875)
熊田 俊郎 駿河台大学, 法学部, 教授 (10195521)
浦野 正樹 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20160335)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 古書 / まちづくりの思想 / 古書籍商業協同組合 / 神田神保町 / ヘイ・オン・ワイ / 観光 / インターネット / 地域力 / 本 / まちづくり / 古書店 / ツーリズム / 組合 / 神保町 |
研究概要 |
この研究は本屋街として、本が商業的に扱われながら集積している場所(地域)を学術研究の対象として取り上げた始めての試みである。インターネットをはじめとする無機質的な情報世界が拡大するにつれて、逆に本屋が沢山ある場所の存在感が増しつつある。本研究ではイギリスの「本の町」と日本の「本の町」神田神保町とを比較し興味深いいくつかの知見を得た。 ・1980年代半ばには、ヘイ・オン・ワイにっついて、イギリスのその他の地域や、ヨーロッパ各地、アメリカやアジアにおいても、「本の町」に共鳴した人々が、本を一つの観光的な魅力とした「町おこし」運動をはじめた。これらは、サスティナブルな農村ツーリズムのモデルであり、過疎地となった田舎が、さまざまな形で自己覚醒したことの現れであった。こうした、古本の町が成立する背景には、多量の本が社会に蓄積されていることと、日常に本を読む人の増加がある。 ・国際的な検索から見ると、日本の「本の町」は英語の図書を扱うイギリスの「本の町」ヘイ・オン・ワイの影に隠れてしまう。ヘイ・オン・ワイの古書店はインターネットを利用して発展している。そのことが検索時のヒットの数によって証明された。それにもかかわらずヘイ・オン・ワイの本屋のなかには、インターネットに反発する動きも見られる。この論文は「本の町」の本屋は自分達のユニークさを強調すべであると示唆している。 ・神保町の町を特徴付けているのが、圧倒的に多い古本屋である。そして、これらの古本屋は組合を結成し市を開いている。このようなギルドは、もはやイギリスにもアメリカにも見られない。この組合と(市場)市会は大正初年に現在の組合の創始者達が発明したものと思われてきたが、本研究ではこれらと類似した活動が江戸時代から存在したことを示唆している。古書籍商業協同組合は江戸時代から続く本の文化の継承者である可能性が高い。 ・日本全国には約5,800軒の古本屋がある。全国古書籍商業協同組合連合への加入件数は約2,500件である。電話帳記載の古本屋は、都道府県ごとに、人口2〜3万人あたり1店舗の割合で全国に普遍的に存在している。一般にイメージされる文化集積地に古書店が立地するという考え方ではこの数字を説明できない。
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