研究課題/領域番号 |
16330124
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会福祉学
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
池本 美和子 佛教大学, 社会福祉学部, 助教授 (90308932)
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研究分担者 |
菊池 正治 久留米大学, 文学部, 教授 (20090201)
細井 勇 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (70190204)
池田 敬正 四天王寺国際仏教大学, 人文社会学部, 教授 (00071209)
今井 小の実 大阪体育大学, 健康福祉学部, 助教授 (20331770)
杉山 博昭 長崎純心大学, 人文学部, 助教授 (20270035)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
2005年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2004年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 慈善事業 / 近代 / 共同 / 地域社会 / 国家主義 / 公共 / 自由 / 救済 / 隣保相扶 / 天皇制国家 / 社会改良 |
研究概要 |
近代日本の民間の救済事業および慈善事業は明治30年代以降に量的拡大をみせていく。それとともに子どもを対象とする事業の場合では特に、慈善会の開催を通じた賛助員数の拡大や寄付金の増大が図られ、地域に限定されない支援を求めていくようになっていく。 しかし、10年もたたないうちに、こうした資金集めそのものへの批判が慈善事業を限られた地域社会での支援に引き戻していくこととなる。その批判は、孤児を利用した慈善会の開催に対するもので、ひとつには近代の慈善事業に特徴的なパターナリズムによる差別的救済に向けられたものであり、新たな民主主義的な生活支援としての社会福祉形成への可能性を示す批判であった。ところが、それとは別の根強い国家主義的な統治道徳にもとづく批判もあり、それは民間の無秩序な寄付によらず国家の慈恵を受けさせるべきであるという考えにもとづくものであった。 こうした動きとともに、慈善事業は明治末から府県の慈恵救済基金、内務省の奨励助成、自治体の委託料等による公的資金を受けるようになり、財源の一部を公的支援にシフトさせていくことでその態勢を変化させていく。この変化を主導したのが明治41年の戊申詔書であった。それは、市町村の自治と住民の協力に対する国家的指導を強め、慈善事業への公的な支援を背景に地域住民の協力を求め、最終的には国家のための共同体や国家のための良民を育成することを求めるものであった。こうした変化は、現代における民主主義的公共制度、すなわち社会福祉への変容の可能性を示しながらも、それとは異なる国家の慈恵による保護の拡大を意味する日本的社会福祉への変容であったといえる。
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