研究課題
基盤研究(B)
14歳から36歳にわたる約1000組の双生児サンプルを有する慶應義塾双生児研究プロジェクト(KTP)の一環として、パーソナリティ、社会的態度、性同一性、食行動などに関する行動遺伝学的研究を行い、パーソナリティの構造とその生活への遺伝・環境の諸要因間相互作用過程の解明を行った。パーソナリティについてのめざましい成果は、パーソナリティ構造の標準図式である「ビッグファイヴ」の遺伝構造が文化間で共通であることを、NEO-PI-Rを用いて、カナダおよびドイツとの国際比較によって示したことが特筆される。あわせてクロニンジャーの気質理論に基づく構造も、アメリカ・オーストラリアとの比較において相同性が確認された。このことはパーソナリティの普遍的、生物学的なモデルを構築する上で極めて意義深い成果であるといえる。もう一つの成果は、行動遺伝学で一般に遺伝要因と非共有環境が個人差を説明し、いわゆる家庭環境による伝達が認められない傾向があるのに対して、社会的態度が家庭環境の凝集性や暖かさが高い家庭で文化伝達がなされ、いわは環境の制度をを媒介として、遺伝・環境観交互作用を示すことをつきとめたことである。その他、性役割や性同一性、食行動などについても行動遺伝学的解析を実施している最中である。これらのデータは、KTPがこれまでに収集してきた多種にわたる表現型のデータと掛け合わせ、多変量遺伝解析を行うことによって、パーソナリティの遺伝・環境因子がどのように実生活の中での諸問題に関連しているかを実証的に検討が可能になる。
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Journal of Personality and Social Psychology (in press.)
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