研究分担者 |
谷口 雅彦 奈良女子大学, 理学部, 教授 (50108974)
中西 敏浩 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00172354)
志賀 啓成 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (10154189)
須川 敏幸 広島大学, 理学研究科, 准教授 (30235858)
佐官 謙一 (左官 謙一) 大阪市立大学, 理学研究科, 准教授 (70110856)
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配分額 *注記 |
16,570千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 1,170千円)
2007年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2006年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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研究概要 |
タイヒミュラー空間はリーマン面の等角構造の変形空間である.擬等角写像類群はリーマン面の擬等角自己同相群のある商群であり,タイヒミュラー空間に双正則自己同型(モジュラー変換)として作用する.タイヒミュラー空間が有限次元のときは,それらは数学の様々な分野で重要な対象として広く研究されている.これを無限次元タイヒミュラー空間に拡張することをめざした.この研究課題では,擬等角写像類群のタイヒミュラー空間への作用の力学系を考察する.そのために,漸近的タイヒミュラー空間とよばれるタイヒミュラー空間の商空間も考えた. はじめに写像類群の作用の再帰集合について研究し,周期点集合がそのなかで稠密ではないことを証明した.この結果は,あとの楕円型モジュラー変換(等角写像類)の作用とモジュラー変換の分類の研究の基礎となった.分類は軌道の振る舞いを基にしてなされ,有限次元タイヒミュラー空間の場合と似た性質をもつ2つのクラスと特定した.ひとつは停留的写像類のクラスであり,もうひとつは漸近的タイヒミュラー空間に固定点をもつようなモジュラー変換のクラスである.停留的写像類群の作用は安定的であることに着目したが,一方で停留的ではないが不連続に作用する写像類群の例も構成した.極端な場合として,写像類群が共通の固定点を漸近的タイヒミュラー空間にもつとき,その群は可算個の元からなることを証明した. 関連する題材として,リーマン面の自己被覆について研究した.双曲リーマン面が(非単射)正則自己被覆を許容するための必要条件を対応するフックス群の言葉で与えた.すなわち,フックス群がポアンカレ級数の臨界指数において発散型であるならば,対応するリーマン面は自己被覆を許容しない.証明にはPatterson-Sullivan測度の一意性を用い,これは高次元の場合にも拡張可能である.リーマン面の正則自己被覆はタイヒミュラー空間の非全射自己埋め込みを誘導する.この埋め込みがつくる力学系を考察し,タイヒミュラー空間上の等長接ベクトルの分布について調べた.また,これらの議論を擬正則自己被覆の場合に拡張することを行った.
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