研究課題
基盤研究(B)
本研究目標は、大型望遠鏡に必要な高精度薄板基板の開発である。その研究成果は次の3つに集約される。1.大型望遠鏡に有利な200mm/段の基板成形技術の確立2.基板材質としてマグネシウム合金の使用3.レプリカ技術適用の実証1については、精密加工技術とプレス加工技術を使い、ウオルターI型光学系を再現した2段1体型の薄板基板を国内で初めて製作した。その形状精度は±30μm(p-p値)であり、3のレプリカ法が適用できる範囲である。200mm/段にすること、2段1体にすることで、この基板1枚が従来の鏡基板の4枚分に相当し、基板枚数を大幅に減少させることができる。2については、マグネシウム合金を用いる事で従来のアルミニウム基板に比べ2/3の軽量化となった。実用金属で最も軽量なマグネシムを用いたのは、本研究が初めてである。マグネシウムの加工温度は通常250℃以上であるが、本研究では150℃の加工温度が最適であるという常識を覆す結果が得られた。3については、100mm長基板(「すざく」衛星)でのレプリカ技術が確立されたことを受け当初の計画を変更し実施した。レプリカ法は基板の鏡面化だけでなく、形状精度の高いマンドレルを使う事で、基板の高形状化もはかれる優れた方法であり、20秒角を実現するには必須である。今回、2段1体型マンドレルを製作し、名古屋大学の協力のもと単層膜のレプリカ実験を行なった。そして、2段1体型(2段合わせて400mm)の大面積レプリカが可能であることを初めて実証した。X線を使った結像性能試験の結果は悪かったが、これは今回製作したマンドレルの形状精度によるところが大きい。本研究で、高精度薄板基板の開発という当初の目標を達成し、レプリカ技術がこの基板に適用できることを実証した。今後、高形状精度のマンドレルが開発されることで、大面積高角度分解能X線望遠鏡が現実のものとなるであろう。
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Proc. of SPIE 6266
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Proceedings of the SPIE (印刷中)
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