研究課題/領域番号 |
16340085
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩井 伸一郎 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60356524)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
16,300千円 (直接経費: 16,300千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
2004年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 光誘起相転移 / 位相緩和 / モット絶縁体 / 電荷秩序 / 超高速分光 / 縮退4光波混合 |
研究概要 |
高い感度と高速応答性を両立する光スイッチング動作原理として、強相関電子系の光学応答が注目されはじめてすでに久しい。しかし、その機構は未だ解明されていない。本研究では、1:高い3次非線形光学特性を有する低次元強相関絶縁体において、光スイッチング動作の動的特性を決める位相緩和時間の詳細な測定(縮退4光波混合法)を行った。その結果から、強相関電子系における高速応答性が、通常の半導体とは異なる励起状態の散乱機構によって支配されていることを明らかにした。2:また、上記の研究を遂行する過程で、高効率かつ超高速な光誘起絶縁体金属転移を、二次元有機伝導体において見出した。この光誘起相転移は、光学特性のみならず、伝導、磁気特性をも同時に高速、高感度スイッチングできる動作原理として注目されている現象である。本研究では、この有機強相関物質における光誘起相転移に関しても、その高速応答性の起源を、中赤外ポンププローブ分光を用いて探索した。 これらの結果から、光スイッチングの応答時間を特徴付ける緩和過程において、強相関電子系特有のスピン自由度の寄与した高速緩和や、光誘起相転移の巨視的性質を反映する臨界緩和など新たな現象を実験的に見出すことができた。これらの知見は、今後、多数の強相関電子系物質の光応答のダイナミクスの類型化に役立ち、さらに、高速スイッチング材料の設計指針を与えるものと期待できる。 時間分解構造解析や時間分解光電子分光など、最新の新しい実験手法の導入によって、強相関電子系における光励起状態や光誘起相転移のダイナミクスの研究は、基礎、応用両面からますます発展が期待される。我々も、今後テラヘルツポンププローブ分光などの新たな手法によって、より詳細な描像をもとめていきたい。
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