研究課題
基盤研究(B)
本課題は密度汎関数法と強相関電子模型の解法を組み合わせたハイブリッド手法を開発し、電子相関の強い系への応用、特にp電子系やナノ構造への応用をめざした。このハイブリッド手法は以下の3段階で構成されている。(1)密度汎関数計算により、高エネルギーの大域的バンド構造を求める。(2)高エネルギー側の電子の自由度を消去し(downfoldingと呼ぶ)、低エネルギー側の自由度だけが残された有効電子模型を導く。(3)求められた有効模型を、精度の高い低エネルギーソルバーで解く。開発されたアルゴリズムはまずSr_2VO_4の電子状態計算に応用され、Sr_2VO_4が反強磁性絶縁体と金属の相境界の近傍にあり、複雑なスピン、軌道秩序を持っことを解明した。次にYVO_3の電子状態の計算もすすめた。得られた絶縁体ギャップの大きさは0.9eVであり、実験結果の1eV程度と定量的に良い一致を示した。また磁気秩序と軌道秩序についても実験を正しく再現した。これらの成果を踏まえて、p電子系への適用を進めた。p電子系の場合には平面波基底によるDFT計算を行ないdownfoldingの手法を確立した。この手法を有機化合物であるBEDT-TTF化合物に適用し、低エネルギー側(フェルミレベル近く)の有効格子模型を導出した。一方、基底状態だけでなく、励起状態の性質解明にdownfolding法が有効かどうかも検証した。GaAsやLiFに対するdownfoldingを実行して、有効模型の光学伝導度を計算し、電子間相互作用によって生じるエキシトン効果が正しく求められることを示した。また低エネルギーソルバーとして、経路積分繰り込む群法に加えて、ガウス基底モンテカルロ(GBMC)法のアルゴリズム開発を進め、GBMC法が負符号問題を起こさない、きわめて精度の高い手法として使えることを実証した。さらに変分モンテカルロ法の改良も行なった。以上、3段階downfolding法の適用で現実の強相関電子系の物性解明に資する親手法がほぼ完成した。
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