配分額 *注記 |
16,300千円 (直接経費: 16,300千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2004年度: 10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
|
研究概要 |
Yb原子化合物では,f電子軌道のエネルギー準位の広がりがCeのそれに比してかなり小さく,単なる1電子-1ホール対応では理解できない特異な物理現象(価数ゆらぎ,大きい軌道縮重度,高次の多極子秩序と,それらに伴う多様な重い電子状態)が発見されるなど,量子多電子状態の本質に関わると考えられる未解決の問題が山積している。本研究ではYbの114系化合物を中心に実験研究を遂行し,その解明のための以下の重要な多くの成果を蓄積した。 反強磁性Yb化合物の磁場印加による量子臨界点へのチューニングと電子および磁気状態の解明 (1)重い電子化合物YbAuCu_4が磁場印加により,反強磁性秩序基底状態から,磁場誘起の量子臨界点(at 1.3kOe)を経て,非磁性フェルミ液体の基底状態に転移することを発見した。特筆すべきことは,その臨界磁場及び量子臨界性が現れる温度エネルギーが従来YbRh_2Si_2で知られていた値より一桁以上高いことにある。 (2)重い電子系の充填スクッテルダイト化合物YbFe_4P_<12>は1kOe以下の低磁場下に量子臨界点をもち,10K以下というかなり高温から非フェルミ液体的振る舞いを示すことを明らかにした。 非磁性Yb化合物の圧力印加による量子臨界点へのアプローチと電子および磁気状態の解明 (3)1次の価数転移を示すYbInCu_4は,2.5GPa以上の圧力印加により価数転移が完全に抑制されるとともに,2.4K以下で強磁性秩序することを見出すとともに27GPaまでの圧力相図を作り上げた。 (4)重い電子系化合物YbCu_5の圧力印加による量子臨界点が5GPa近傍であることを示すとともに,電子の局在性の増大を2.5GPaの圧力下までNMR測定により微視的に調べた。 多極子秩序の検証とその秩序機構の解明 (5)結晶場基底状態に軌道縮退を持たないYbSbにおいて,mixed-typeの四極子秩序が起こっていることをSb-NMRの線幅に対する同位元素効果により検証した。 (6)TmTeにおいて,1.6Kでの四極子転移に加えて,20K近傍にもう1つの多極子(おそらく八極子)転移が存在することをNMR測定により明らかにした。
|