配分額 *注記 |
16,580千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 480千円)
2007年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2006年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2005年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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研究概要 |
磁場誘起超伝導体λ-(BETS)_2FeCl_4の磁気光学測定を,1.4Kにおいて,米国フロリダの強磁場研究所の33T水冷磁石を用いておこなった。光源としては後進後波管(BWO)を,検出器としてはlnSbホットエレクトロン検出器を用い,試料回転が可能な透過型試料ホルダーを作成して測定をおこなった。針状の試料1本で測定をこころみたが,マスクがなかったこともあり信号を検出することができなかった。そこで,マスクをつけ数本の針状試料を平行に並べ,試料間を光が透過するよう配置した。試料回転機構を用いてできるだけ磁場がc軸に平行となるよう試みたが,ESR信号が完全に消失するような配置は実現できなかったので,一部の試料は磁場が完全にc軸と平行にはなっていなかった可能性が考えられる。その結果,高周波数領域において8T付近の透過度が増大するような非常に特異な周波数依存性が観測された。さらに,8T以上の磁場で透過度が大きく減少し,S/Nの範囲内で,磁場誘起超伝導状態と予想される20T以上で有意な変化は観測されなかった。しかし,このような有機導体の超伝導がクリーンリミット(超伝導のコヒーレンス長:ξ<平均自由行程1)にある場合,Drude反射のすそが超伝導ギャップよりエネルギーが小さいため,透過強度の超伝導状態と金属状態の差が小さく,周波数依存性から超伝導ギャップの大きさを明らかにすることが困難である可能性が検討の結果明らかとなってきた。一方,高周波数領域において観測された8T付近の透過度が増大するような非常に特異な周波数依存性は,非常に興味深いがその原因が未解明であるため,2008年夏にタリンで開催される強磁場の国際シンポで発表し,議論することでさらに検討をすすめることを計画している。
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