配分額 *注記 |
16,700千円 (直接経費: 16,700千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2005年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
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研究概要 |
地殻岩石のレオロジカルな性質は,間隙を占めるH2O流体や結晶粒界の水の薄層,そして結晶内部に溶け込んだ少量の水によって大きく影響される.地殻変形に及ぼす水の効果を調べるため,静岡大学理学部所有の固体圧式変形試験機MK65Sを整備し,1GP・1000℃におよぶ高温高圧条件下で高精度の力学データを取得する実験手法を確立した.メノウおよび蛇紋岩(主としてアンチゴライト)の円筒形試料を初期物質にもちいて定歪速度試験を行なった.いずれの試料も,高温において自由水を放出する.メノウの試料は再結晶により石英の多結晶体になり,定常クリープ挙動を示す.石英のc軸ファブリックは圧縮軸方向に集中し,歪エネルギーに駆動された結晶粒界移動によるものと推定される.高温高圧実験の前後のサンプルの含水量の変化は赤外顕微鏡によって測定した.蛇紋岩の変形実験は封圧800MPaにおいて,脱水温度以下の500℃と脱水温度を超える700℃で行なった.実験試料は銀のチューブとディスクで覆い,いくつかの実験では700℃または750℃において0.5-1時間静的条件でアニーリング(予備加熱)した後に変形させた.500℃の実験では差応力が1GPaに達しても降伏しなかった.予備加熱をせずに700℃で変形させた実験においても,サンプルは高い強度を示したが,予備加熱を行なった試料の700℃の実験では顕著な軟化とクリープ挙動を示した.脱水反応に伴う間隙の生成と破壊が蛇紋岩の脆性-延性転移を起こしていると推察される.これらの結果から,蛇紋岩の脱水が二重震発地震面におけるスラブ内地震を誘起することが示唆される.
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