研究分担者 |
三木 俊克 山口大学, 大学院理工学研究科, 教授 (70091212)
千々石 一豊 (千々和 一豊) 山口大学, 教育学部, 助教授 (50217238)
坂口 有人 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (80304666)
今井 登 産業技術総合研究所, 地球科学情報研究部門・地球化学研究グループ, グループ長 (20356512)
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研究概要 |
本研究は,断層岩の熱履歴を非破壊で解析する二次元電子スピン共鳴(ESR)装置を作成することを主要目的として,ESR装置の組み立てに始まり,穴あきキャビティ,変調磁場用コイル及びX-Yステージ用試料台の作成を行い,二次元ESR画像計測装置を完成させた。また,二次元ESR画像の解像度を向上させるために,スリット型(スリット幅3mm×10mm)穴あきキャビティの上にφ2.6mmのピンホール真鍮板を貼り付ける改造を行い,それまでは2〜3mm程度しかなかった解像度を0.25mm程度まで向上させることに成功した。完成したESR画像計測装置を野島断層岩に適用し,加熱により生成・増大するフェリ磁性共鳴(FMR)信号の一次元連続計測及び二次元画像計測を行った結果,過去に何度となく繰り返し発生した地震活動時の断層摩擦熱を0.25mmの分解能で検出することに世界で初めて成功した。また,一次元ESR連続データから断層摩擦発熱温度を見積るための手法を検討し,解析用コンピュータプログラムを開発した。今後は,掘削計画の遅れのために本研究期間内には実施できなかった台湾・チェルンプ断層Hole B掘削コア試料の二次元ESR画像計測を行い,1999年集集地震時の断層摩擦発熱温度を見積ることを計画している。一方,二次元ESR画像を磁化率強度分布図に変換する方法についての検討を行い,ニッケル標準試料(54.56emu/g)との比較により磁鉄鉱石,蛇紋岩,斑レイ岩,野島断層岩,台湾・チェルンプ断層岩などの二次元磁化率強度分布図を作成した。その他,断層摩擦熱で増大するFMR信号やビトリナイト反射率に関する基礎研究を行い,野島断層及びチェルンプ断層の掘削コア試料にそれぞれ適用して,1995年兵庫県南部地震及び1999年集集地震時の断層摩擦発熱温度を推定した。
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