配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
|
研究概要 |
本研究課題では沖縄県伊江島沖の海底洞窟"大洞窟"(入口は深度20m,奥部の深度は31m)の堆積物に関して研究を行ない,次の結果を得た. 1.堆積物の厚さは約340cmに達するが,採取できたのは表層から深さ147cmまでで,深さ125cmより上位は灰白色石灰泥で,下位は淡黄色石灰泥である.^<14>C年代測定から,境界年代はBC3,500年頃と推定される.堆積物の変化の原因は不明だが,両堆積物が石灰泥であることは洞窟内の流水エネルギー環境が5千年間低レベル状態を維持していたことを示唆する(Kitamura et al.,2007b, Paleontological Research (PR)). 2.表層堆積物とコア堆積物から判明した二枚貝の種組成の時空間分布変化から,洞窟内の環境が徐々に奥部化していることが分かった(Kitamura et al.,2007b, PR). 3.軽石の多産層準(大洞窟軽石と命名)を発見し,その堆積期間が約BC440〜AD640年であることを明らかにした(北村ほか,2006).この発見は,海底洞窟堆積物が火山活動の情報源としても役立つことを意味する. 4.洞窟奥部に約1年間係留した水温計の記録から,そこの水温の年間変化は洞窟外の水深30mと同じであることが分かった(Kitamura et al.,2007a, Global and Planetary Change (GPC)). 5.堆積物表面に生息する微小二枚貝Carditella iejimensis(殻長4mm以下)の酸素同位体比(δ^<18>O)を測定し,水温記録と比較し,そのδ^<18>Oから洞窟外の水深30mの春季水温を復元できることを明らかにした.そして,コア試料中の同種のδ^<18>Oから水温を換算した結果,ローマ温暖期と中世温暖期は現在よりも1-2℃高く,小氷期の値には現在と差がないことが分かった(Kitamura et al.,2007a, GPC).なお,微小二枚貝を用いた地球科学的研究は他に例を見ない.
|