配分額 *注記 |
16,400千円 (直接経費: 16,400千円)
2006年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2005年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2004年度: 10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
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研究概要 |
惑星内部におけるマグマの移動は粘性と密度により制御される。特にマグマとまわりの岩石の密度差は,マグマが上昇するか,もしくは深部にとどまるかを決定するパラメーターである。我々は地球上に最も多量に存在する玄武岩マグマの密度をX線吸収法を用いて広い温度圧力範囲で精密に測定し,その圧縮機構を研究した。高温高圧X線吸収実験はBL22XUのDIA型プレスSMAP1を用いて行った。玄武岩組成のガラスを単結晶ダイヤモンドの試料容器に封入し,高温高圧で溶融させてX線吸収を測定し,その密度を求めた。高圧下で得られた玄武岩マグマの密度データをBirch-Murnaghanの状態方程式に当てはめると,負の体積弾性率の圧力微分が求まる。これは圧力が高くなるほど,より圧縮しやすくなることを意味する。この異常な圧縮は玄武岩マグマの構造が圧力によって変化していると考えると説明ができる。玄武岩マグマ中ではSiO4とAlO4の四面体のネットワーク構造の縮小とAlの配位数増加によって急激な密度増加が起きていると考えられる。浮沈法から求められた状態方程式(Agee, 1998)は今回の密度データを全く説明できない。玄武岩マグマのように構造変化が起きるばあい,浮沈法によって決めた数少ない密度データから状態方程式を構築しても実際のマグマの圧縮を再現できないことが示された。このようにマグマの圧縮過程の研究におけるX線吸収法の優位性は明らかである。
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