研究課題/領域番号 |
16350017
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
北浦 和夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 上席研究員 (30132723)
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研究分担者 |
上林 正巳 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学部門, 主任研究員 (70356559)
根本 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物情報解析センター, 主任研究員 (70357739)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 15,600千円)
2006年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2004年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | FMO法 / 蛋白質の電子状態計算 / フラグメント分子軌道法 / 蛋白質の構造計算 / 非経験的分子軌道法 |
研究概要 |
アミノ酸配列から蛋白質の立体構造を非経験的に予測することは未だ成功していないが、ホモロジーモデリングや3D-1D法など、構造既知の蛋白質との類似性にもとついて、新規アミノ酸配列を持つ蛋白質の構造予測をする方法が発展しつつある。本研究は、これらのモデリング構造や解像度の低い実験構造など、何らかの形で蛋白質の構造が得られた場合に、それら初期構造として非経験的電子状態計算による構造最適化を行うことにより、精密な信頼性の高い構造を求める手法を確立することを目的とする。研究代表者らが10年程前から開発してきたフラグメント分子軌道(FMO)法によると、数百CPUによる並列計算が高効率で行えるため、蛋白質のような巨大分子の構造最適化計算が現実的に可能となった。 本研究では、FMO法の高速エネルギー勾配計算の鍵となる、離れた2量体の静電相互作用近似のエネルギー勾配を開発し、蛋白質の構造最適化計算を現実的に可能とした。これを用いて、FMO法による最適化構造の精度を検証するために、ポリペプチドで標準ab initio MO法と比較した(計算はすべてRHF/3-21(+)Gレベル)。アラニン10量体のα-helix、β-turnとextended配座異性体およびMet-enkephalin二量体で比較した。両者の構造は、原子のデカルト座標の最小二乗変位(RMSD)で最大0.20Åであった。これによりFMO法がab initio構造を非常に精度よく再現することが確認できた。次いで、合成小蛋白質(PDBコード1L2Y、原子数304、基底関数の数1686)の構造最適化を行い、ab initio構造とのRMSDが0.198Åと非常によい一致が得られることを示した。これらの結果は、非経験的電子状態計算で得られる蛋白質構造(気相中の構造)が、結晶中または水溶液中の構造とほぼ同じであり、低解像度の構造データの精密化に使えることを示している。 なお、FMO法の計算プログラムは、アイオワ大学のGordonグループで開発され公開されているab initio電子状態計算プログラムGAMESSに組み込み公開した。
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