配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2006年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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研究概要 |
生体系には,酸素運搬能を有するHemocyanin(Hc)や,チロシンのフェノールを水酸化するTyrosinase(Tyr)などがある。いずれも二核銅中心を持ち酸素分子と反応して(μ-η^2:η^2-peroxo)二核銅(II)錯体を生成するが,その機能は全く異なっている。また,メタンをメタノールに酸化するParticulate methane monooxygenase(pMMO)の反応中間体でも二核銅-酸素錯体の可能性が示唆されているが,現在のところ詳細は不明である。本研究では,このような銅酵素で見出されている活性中間体を小分子で再現し,その反応性を調べることを目的とした。 二核化配位子1,3-bis[bis(6-methyl-2-pyridylmethyl)aminomethyl]benzene(L)を含む二核銅(I)錯体は,-80℃の低温で酸素分子と反応して(μ-η^2:η^2-peroxo)二核銅(II)錯体を生成する。このペルオキソ錯体は,低温でも反応性に富み配位子に組込んだキシリル基を親電子的置換反応で水酸化し,Tyrと類似の反応性を有している。本錯体のDFT計算により推定される構造から,ペルオキソ基への外部基質の接近が可能であることが分かった。そこで,本錯体と様々なC-H結合解離エネルギー(75-89kcal mol^<-1>)を持つ脂肪族化合物との反応性を調べた。その結果,ペルオキソ基は水素原子引き抜き能を持つことが分かった。速度論的研究により,この水素原子引抜き反応はラジカル的反応であることを明らかにし,pMMOと同様にC-H結合を活性化する能力を持つことが明らかとなった。さらに,本錯体のペルオキソ基の反応性をクミルペルオキシドラジカルと比較検討した結果,これら両者は非常に良く似た反応性を持つことが明らかとなった。
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