研究課題/領域番号 |
16350035
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
干鯛 真信 (干鯛 眞信) 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (60011011)
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研究分担者 |
鈴木 俊彰 理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 先任研究員 (20332257)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
2005年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2004年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
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キーワード | チアカリックスアレーン / 硫黄 / 多核錯体 / 前周期-後周期異種複核錯体 / チタン / ロジウム / C-O結合切断 / C-S結合切断 / 前周期-後周期 / 異種複核錯体 / ELHB錯体 / ルテニウム / イリジウム / ニオブ / モリブデン / 窒素固定 |
研究概要 |
チアカリックスアレーン(TC4A(OH)_4,1)は複数の金属に同時に配位することが可能であり、それらの金属の相互作用によりこれまでにない特異な反応を促進させることや、芳香環に囲まれた空孔に反応基質を取り込み金属上で反応させることにより選択性の向上も期待できる。本研究では、1のOH基をSH基やOMe基に変換したTC4A(SH)_4(2)やTC4A(OMe)_2(OH)_2(3)のほか、独自に合成したTC4A(OH)_2(SH)_2(4)やTC4A(OMe)_2(SH)_2(5)を用いて、種々の遷移金属錯体と反応させることにより一連の新規な錯体を合成してその構造を明らかにした。 例えば、[Cp*MCl_2](M=Rh,Ir;Cp*=C_5Me_5)と反応させることにより、単核錯体[(Cp*M){η^3-TC4A(OH)_2(O)_2}]、二核錯体[(Cp*M)_2{η^3:η^3-TC4A(S)_4}]、四核錯体[(Cp*M)_2(Cp*MCl_2)_2{η^3:η^3:η^1:η^1-TC4A(O)_2(S)_2}](6)を選択的に合成した。すなわち、チアカリックスアレーン(1-5)の微妙な構造の差異により反応性に大きな違いがあることを明らかにし、さらに錯体6が[(Cp*MCl)_2{η^2:η^2-TC4A(OH)_2(S)_2}]および[(Cp*M)_2{η^3:η^3-TC4A(O)_2(S)_2}]を経由して段階的に生成することも明らかにした。また、性質の異なる前周期遷移金属(Nb,Ta)および後周期遷移金属(Rh,Ir,Pd)を同時に含む前周期-後周期異種複核錯体(ELHB錯体)、さらに典型金属を含むTi_2Ru_2Na_4八核錯体の合成にも成功した。 一方、1とCpTiCl_3の反応により得られる[(CpTi){TC4A(OH)(O)_3}]を[Mo(N_2)_2(PMe_2Ph)_4]と反応させることにより生成するTi-Mo二核錯体[Ti(μ_2-C_5H_5)MoH(PMe_2Ph)_2{TC4A(O)_4}]は、非常に興味深い構造を有しており、シクロペンタジエニル配位子が同時に2つの金属に配位している。これは、チアカリックスアレーンが多核金属錯体を合成するための有用な配位子であるばかりでなく、1つの反応基質を複数の金属により同時あるいは逐次的に活性化する反応場を供給するための優れた配位子となりうることを示している。
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