研究概要 |
フォトクロミック化合物の2,3-bis(2,4,5-trimethyl-3-thienyl)maleimidの閉環体(closed-bttm)を用いて、チャンネルを有するAg(I)配位高分子[Ag(closed-bttm)(CF_3COO)](1)の合成を行った。1はチャンネル(7.5×7.6Å)を有し、このチャンネルになペンタン1.6分子が吸着されることを明らかにした。1に525nmの光照射を行った結果、閉環体から開環体へ変化することが分かった。このようにclosed-bttmの錯体では、光で構造変換し、ゲスト分子を脱離することを見出した。 次に1,2-bis(5-carboxy-2-methyl-3-thienyl)perfluorocyclopentene(BM-5-CATP)を用いて新規フォトクロミック多孔性配位高分子[Cu_2(BM-5-CATP)_2(H_2O)_2](2)の合成に成功した。興味あることに、2は3.0×4.3Å及び3.2×5.0Åのチャンネルを有していた。このチャンネルには、ゲスト分子として溶媒に用いたメタノールが取り込まれていると考えられるが、構造解析途中あり最終確認を行っている。 2の結晶粉末に305nmの紫外光を照射すると590nmにλ_<max>をもつ新しい吸収ピークが観測され、これに伴い錯体は淡青色から閉環体の濃青色に変化した。次にこの閉環体に可視光を照射すると590nmの吸収帯の減少と共に元の淡青色に戻った。これより、2が固体状態で可逆的にフォトクロミズムを示し、「ゲスト分子を可逆的に取込む光.スイッチング配位高分子」として十期待されることを明らかにした。
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