配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
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研究概要 |
下記1-4項を検討し研究表題に掲げる近赤外発光プローブの創製に成功した. 1.Tb-Ag-チアカリックスアレーン(TCAS)超分子錯体の構造の確定:高精度のES-MSにより,pH6.5で超分子錯体Ag_2・Tb_2・TCAS(1)が,pH10でAg_2・Tb・TCAS(2)が生成することを明らかにした.1,2とも2個のTCASを2個のAg(I)が架橋するdouble cone構造をとること.1ではTb(III)が2組のO,S,O配位を受け,2では2組のO,O,O,O配位を受けることがわかった. 2.光物理特性の決定:超分子錯体1について発光量子収率φ=0.16,発光寿命τ=1.09ms,配位水分子数q=2.4となった.一方2についてΦは1に比べ小さかったが(0.11),τは4.61msとTb(III)イオンの自然発光寿命(4.7ms)に匹敵するほど大きかった.これはTb(III)のqが0.1とほぼ0であるためである.配位水分子の除去は倍音吸収による失活が顕著な近赤外発光を得る上で鍵となる.以上のことから超分子2をプローブ候補とした. 3.近赤外発光プローブへの展開:Yb(III)はpH9.9で超分子2を生成し,近赤外領域983nmにYb(III)由来の発光を示した(発光量子収率φ=2.5×10^<-3>).一方Nd(III)は同条件で組成の異なる錯体Ag_3・Nd・TCAS(3)を生成したが,同じく近赤外領域1050nmにNd(III)中心の発光を示した(φ=2.9×10^<-4>).以上,近赤外発光プローブ2,3を得ることに成功した. 4.速度論的安定性の評価:Ag_2・Tb・TCAS(2)について加溶媒分解反応速度定数をキャピラリー電気泳動反応器により3.1×10^<-3>s^<-1>と決定した.これは半減期3.8分に相当し,プローブの速度論的安定性の向上が実用上の課題となることが示された.
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