研究課題/領域番号 |
16350071
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能物質化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠原 久典 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50132725)
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研究分担者 |
菅井 俊樹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助手 (50262845)
北浦 良 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50394903)
岡崎 俊也 産業技術総合研究所, ナノカーボン研究センター, 主任研究員 (90314054)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
2005年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2004年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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キーワード | 金属フラーレン / ナノピーポット / 電子エネルギー損失分光法 / 単層カーボンナノチューブ / 電界効果型トランジスタ / 電極 / ナノエレクトロニクス / 電子輸送特性 / カーボンナノチューブ / 2層カーボンナノチューブ / ピーポッド / CVD法 / 高収率合成 / 高分解能透過型電子顕微鏡 / STM |
研究概要 |
さまざまな金属内包フラーレンをドープしたピーポッドを合成し、それぞれのピーポッドにおける、金属原子の電荷数を電子エネルギー損失分光法(EELS)によって調べた。Sc_2@C_<84>(I)、Ti_2C_2@C_<78>、La@C_<82>、La_2@C_<80>、Ce_2@C_<80>、Sm@C_<82>(I)、Gd@C_<82>、Gd_2@C_<92>をドープしたピーポッドについて測定をおこなったところ、どの場合もSWNTsに取り込まれることによる金属原子の価数変化は観測されなかった。つまり、ScとTi、Smは+2価、その他の金属原子は+3価のままで変化しない。これは、金属、半導体といったSWNTsの性質にも全く依存しない。フラーレンに内包される際には電子をケージへと渡す金属も、さらにSWNTsにつつまれる場合には何の反応もしないことがわかった。 フラーレンを内包したことによる電子状態の変化は、電子輸送物性にも反映された。種々のピーポッドをチャンネルとして用いた電界効果型トランジスタ(FETs)を作製し、その電子輸送特性を調べた。まず、フラーレンをドープしていない空のSWNTをもちいたFETsでは、ゲートに負の電圧をかけるとソース・ドレイン電極間に電流が流れた。逆に正の電圧をかけても電流は流れなかった。これはSWNT-FETsがp型半導体であることを示している。一方、種々のフラーレンを内包したピーポッドでは、正負どちらの電圧をゲートにかけても電流が流れ、p型、n型の両方の特性が現れることがわかった。 フラーレンを内包したピーポッドの基礎的電子物性を系統的に明らかにし、実際にデバイスを製作して半導体特性評価をおこなった。その結果から、ピーポッドがナノエレクトロニクス素子として非常に有用であることを示した。これら一連の研究は世界に先駆けておこなわれたもので、高く評価されている。今後は、電極とピーポッド界面での接触問題など、詳細なメカニズムの解明が急務である。
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