配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2006年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2005年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2004年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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研究概要 |
天然酵素は,「遷移状態の安定化」に加え,「補酵素」などの触媒因子を組み合わせることによって高い活性を示す.すなわち,このような触媒因子の組み合わせを抗体タンパク質に導入することが高活性発現の鍵となる.そこで,種々の官能基をもつ非天然コファクターを収納するための結合サイトと基質分子の結合サイトの両方を併せ持つ抗体酵素の作製を検討した。その結果,コファクター分子を入れ替えることにより,触媒反応の種類や触媒機構をコントロールできる抗体-補酵素ハイブリッド型抗体酵素の創出に成功した。 1.抗体酵素の作製 抗原結合部位にコファクター結合部位と基質結合部位を構築するために,ハプテン(1)を設計した。合成したハプテンを担体タンパク質(KLHおよびBSA)と縮合させ抗原としたのち、Balb/cマウスと免疫した。一連の細胞工学的手法により、ハプテンを特異的に認識する50種類のモノクローナル抗体が得た。 2.触媒活性測定 アシル基転移反応:50種の抗体に関して活性スクリーニングを行った。エステル化合物と求核触媒として機能すると期待されるアルコール性のコファクター分子とのエステル交換反応を検討した結果,触媒活性のある22種の抗体を得た。また,その触媒反応は,ハプテンの添加により濃度依存的に阻害された。そこで,最も活性の高かった2種の抗体(25E2,27C1)について,詳細な反応速度論的解析を行った。コファクター分子としてアルコール、アミン、チオールのどれを用いた場合も高い触媒活性を示した。2種に関して動力学的パラメータK_m, V_<max>,k_<cat>の決定した。その結果、非触媒反応に比べて,アルコールを用いた場合198(25E2)倍,109(27C1)倍、アミンを用いた場合1.4×10^4(25E2)倍,5.5×10^4(27C1)倍、チオールを用いた場合4.2×10^3(25E2)倍,2.9×10^3(27C1)倍の速度加速を観測した。また、アミドを基質として用いた場合も触媒活性を持つことが判明した。 脱離反応:コファクター分子としてフェニル酢酸誘導体を用い,塩基触媒により脱離反応を検討した。その結果,抗体25E2がβ-ハロケトンからエノンへの脱離反応を触媒することを見いだした。
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