配分額 *注記 |
15,800千円 (直接経費: 15,800千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
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研究概要 |
本研究では,生命現象の中で中心的役割を担うタンパク質を取り上げ,タンパク質の立体構造が形成する原理(動的側面)と安定化の仕組み(静的側面)を,有機化学的な視点からの様々なアプローチをとおして徹底的に解明することを試みた。中でもタンパク質中に存在するイオウ原子の役割に焦点を絞って研究を進めた結果,これまで知られてこなかったイオウ原子の構造生物学的および遺伝学的な新機能の存在を示唆することができた。 本研究では4つのサブテーマを設定した。 1.タンパク質におけるイオウ原子の静的役割の解明 2.タンパク質におけるイオウ原子の動的役割の解明 3.タンパク質中のイオウ原子の化学修飾 4.分子シミュレーションによる理論的アプローチ サブテーマ1では,タンパク質構造データベース(PDB)を用いてボスホリパーゼA2の分子構造を詳しく調べた結果,複数のS…0およびS…N相互作用の存在を明らかにした。これらの相互作用はボスホリパーゼA2の酵素活性(機能)や進化とも関連していることが,系統樹解析の結果などから示された。サブテーマ2では,ジスルフィド結合(SS結合)を4つもつリボヌクレアーゼAの酸化的リフォールディング過程を,独自に合成した水溶性セレノキシド化合物を用いて詳しく解析した。その結果,立体構造形成におけるSS結合の組み換え反応の重要性が明らかになった。サブテーマ3では,タンパク質中のイオウ原子をセレン原子に置換することを考え,イオウを含むアミノ酸であるシスティンをセレノシスティンに変換する反応を開発することに成功した。サブテーマ4では,研究代表者が考案した単一アミノ酸ポテンシャル力場(SAAP力場)の開発を進め,ペプチドの分子シミュレーションソフトウェアを独自に開発し,これを用いてペプチド分子中のイオウ原子と隣接するヘテロ原子との相互作用の解析を試みた。
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