配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
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研究概要 |
(1)シクロヘキセン環とセレノメチル基を有するテトラチアペンタレンドナー,CHSM-TTPが,選択的にD : A=2:1の金属相,(CHSM-TTP)_2MCl_4(PhCl)_x(M=Ga, Fe)を与える事を見出した。これらの塩はいずれも対応するCHTM-TTP塩と同型であり,ドナー分子はface-to-face型に積層してカラムを形成し,そのカラムが分子短軸方向に2本並んだラダー構造をとる,といった特異な分子配列を有する。これらの塩は室温で1.9-11Scm^<-1>の伝導性を示し,160-250Kまで金属的な挙動を示した後,半導体へ転移する。 (2)チオメチル基を有するTTPドナー,BTM-TTPから(BTM-TTP)_2X(X=PF_6,SbF_6,TaF_6)の組成を有する3種のラジカルカチオン塩を得た。これらのうち,PF_6塩とTaF_6塩(共に針状晶)はβ型配列をとり,'SbF_6塩(板状晶)はθ型配列をとることが明らかとなった。バンド計算によると,β型塩は擬一次元的なフェルミ面を,SbF_6塩は二次元的なフェルミ面を有することが示唆された。電気伝導度測定を行ったところ,β型塩は5Kまで金属的な温度依存性を示したが,SbF_6塩は室温から半導体的挙動を示した。 (3)TTP分子中の一つのTTF部位をテトラチアフルバレン(TSF)に置き換えた新規TTP系分子の合成に成功した。CV測定を行ったところ,ラジカルカチオン状態においては,主にTTF側に陽電荷が分布し,第二酸化はTSF部位の寄与が大きいと考えられる。これらのドナーを用いた分子性錯体の導電性について検討したところ,TSFとビニローグTTFから成る類縁体がTCNQ錯体およびI_3塩の加圧成型試料と高伝導性(σ_<rt>=8・36Scm^<-1>)を示し,活性化エネルギー(0.02-0.05eV)が非常に小さいことから単結晶では金属的旗伝導性が期待される。
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