研究課題/領域番号 |
16350107
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機工業材料
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中戸 晃之 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助教授 (10237315)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2004年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | ニオブ酸塩 / 粘土 / 剥離 / ナノシート / 分散系 / ミクロドメイン構造 / 光誘起電子移動 / 電荷分離 / ミクロ相分離 / チタン酸塩 / 液晶 / メチルビオロゲン |
研究概要 |
光触媒活性をもつ層状ニオブ酸塩K_4Nb_6O_<17>を剥離させて得たナノシートに、ヘクトライト粘土の剥離ナノシートと電子アクセプター物質であるメチルビオロゲン(MV^<2+>)とを加えた多成分コロイド分散系が、きわめて安定な光誘起電荷分離を起こすことを見出した。電荷分離の機構や制御因子を検討し、本系は、コロイド分散した光触媒粒子の超構造に基づいて電荷分離を安定化する、従来にないタイプの光エネルギー変換系であると結論した。結果は以下のようにまとめられる。 1.安定な電荷分離が起こるには、2種のナノシート(ニオブ酸塩と粘土)の共存が必須条件である。2種のナノシートは、コロイド中でミクロドメイン構造を形成して相分離し、MV^<2+>は粘土に選択吸着する。これが電子ドナー(ニオブ酸塩ナノシート)とアクセプター(粘土上のMV^<2+>)の空間分離をもたらし、電荷分離を安定化させる。 2.ニオブ酸塩ナノシートからMV^<2+>への光誘起電子移動によって生じるMV^<2+>還元体は、適切な条件下で、10時間以上の寿命を示す。 これはニオブ酸塩へMV^<2+>を包接させた固相系での寿命を上回る。構成粒子の流動によって逆反応が起こり得るコロイド系としては、驚くべき安定性である。 3.電荷分離の安定性は、粘土ナノシート濃度に応じて大きく変化する。粘土濃度を上げるにつれて系の粘性が増大し、電荷分離は安定になる。しかし粘土濃度が高すぎて系がゲル化すると、電子移動は起こらない。このことから、系の流動性が確保されながらもナノシートの拡散が極力抑制される条件で、安定な電荷分離が達成されると考えられる。 4.本系の反応は、多成分異方性粒子コロイドがもつ種々の特徴(ドメイン構造、流動性、成分による機能分担)を巧みに利用したもので、さまざまな光化学反応系への適用が可能である。
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