研究課題/領域番号 |
16350109
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機工業材料
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研究機関 | 京都大学 (2005-2006) 東京工業大学 (2004) |
研究代表者 |
内本 喜晴 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (50193909)
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研究分担者 |
渡辺 巌 大阪府立大学, 大学院理学系研究科, 教授 (50028239)
生田 博将 福島大学, 理工学群, 助教授 (80242270)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2006年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
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キーワード | 電子構造 / リチウムイオン二次電池 / 第一原理計算 / トポケミカル / ポリアニオン化合物 / オリビン構造 / リチウム電池 / X線吸収 / セラミックス / エネルギー効率化 / 表面・界面物性 / 正極活物質 / オリビン / 局所構造 |
研究概要 |
オリビン型リン酸塩は次世代のリチウムイオンニ次電池用正極材料として注目を集めている。この物質の特徴は、従来の酸化物系材料と比べて高い電池電圧を有する点にある。しかしながら電気伝導性に極めて乏しいことから、実用化には至っていない。したがって、オリビン型リン酸塩の電池反応を理解するためには、その電子構造を調べることが必要である。電子構造をX線吸収分光法と第一原理計算により解析した。 LiCoPO_4に対して解析を行った結果、リチウム脱離反応に伴う電荷補償についてのメカニズムが明らかとなった。すなわち、リチウム脱離量の少ない領域では酸素による電荷補償への寄与が大きく、一方リチウム脱離量が大きい領域ではコバルトの酸化反応による電荷補償への寄与が大きいことが示された。この間、リンについても電子状態の変化が観測された。また、コバルトの酸化反応の寄与が大きい領域では、コバルト周りの局所構造に歪みが生じることが示された。第一原理計算の結果からは、イオン性の強いリチウムのクーロン相互作用による分極効果が酸素における電子移動を促進し、またリンの電子状態にも影響を与えていることが示唆された。以上の結果から、遷移金属の電子が孤立していると考えられているオリビン型リン酸塩においても、リチウム脱離に伴う電荷補償において酸素の寄与が重要であることが示された。 LiFeP0_4についても同様の解析を行った結果、リチウム脱離に伴う電荷補償が主に鉄の酸化反応によって行われていることが明らかとなった。この鉄の酸化に伴って、鉄周りの局所構造は歪みの少ない構造になっていることが示され、LiCoPO_4とは対照的な結果を得た。このことから、鉄系では鉄の酸化反応が、電子状態の比較的安定なFe^<3+>(d^5)への変化を伴うために電池電圧が低く、一方コバルト系においては、酸素による電荷補償が電池電圧を高めていることが示唆された。
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