研究概要 |
本研究は,電気光学効果による光位相変調において,光ビーム断面内での変調指数,変調位相,変調周波数帯域の複合的な分布を創意工夫することで,時空融合型光制御デバイスの新しい機能を創成し,新規デバイスを開発することに目的を置いていた.研究期間では,新規デバイスと同時並行して,擬似速度整合型光変調器の高速性,広帯域サイドバンド生成の特長に着目した新しい光制御の手法を理論的に検討した.本研究助成金給付期間内で得られた主たる成果の概要を以下に示す. 1.超高速電気光学偏向器とそのパルス生成への応用 分極反転形状を光波とマイクロ波の速度非整合を考慮に入れた上で理論的に設計し,世界最速(周期:61.5ps)で大きな解像点数を有する超高速光偏向器を実現した. 2.光ストリークカメラ 1で開発した超高速光偏向器と回折素子とを一つの電気光学結晶に集積化した,モノリシック光パルス生成器の設計と試作を行い,所期の動作を確認した. 3.電気光学定在波位相格子によるピコ秒光パルス生成 ひし形状の分極反転とすることで,デバイス出力ビーム断面内に定在波状の位相分布を与える新しい変調器を考案した.実験では16.25GHzの変調周波数でデバイスを駆動し,パルス幅1ps,繰り返し周波数32.5GHzの超短光パルス列を直接生成できることを確認した. 4.超高速光偏向による光ビームの時間軸反転 高速光偏向器による光信号の時間⇔空間変換と回折格子の時間遅延機能を組み合わせた光ビームの時間軸反転の手法を新たに提案し,理論的に検討した. 5.多段位相変調と分散制御による大振幅可変光周波数シフト/変換 多段位相変調とサイドバンド成分間の相対位相制御により,変調周波数で離散化されるが,1THz以上に亘り連続的にシフト量が可変な新しい光周波数シフタを考案し,動作を数値解析により確認した.
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