研究分担者 |
三原 毅 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20174112)
巨 陽 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60312609)
燈明 泰成 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50374955)
林 高弘 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30324479)
小島 隆 神奈川県産業技術総合研究所, 材料技術部, 主任研究員(研究職)
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研究概要 |
本研究はき裂非破壊評価の高信頼化における三大障壁であるき裂閉口,き裂の枝分かれ,溶接部なる問題解決のための学術基盤の確立と技術基盤の開発を目的として2年継続により実施したものであり,以下のような研究成果を得た。 1.結晶粒界からの超音波反射ノイズのアベレージングの最適化によるS/N比の向上 オーステナイト系ステンレス鋼製試験片を対象とし,結晶粒界からの超音波反射ノイズを低減するための斜角超音波探傷法の最適サンプリング条件と探触子の走査条件を見出した。 2.溶接部の閉じた裏面き裂の超音波探傷 被検査物裏面に導入した様々な閉じ具合の疲労き裂を対象として,き裂寸法とき裂閉口圧を逆問題解析により同時に決定する手法を確立した。また,応力腐食割れを有する溶接試験体の表面をドライアイスにより局所的に冷却することで試験体内部に熱応力が発生し,応力腐食割れからの超音波応答が向上することを示した。 3.非線形超音波による閉じたき裂の評価 開口量を制御して導入した疲労き裂を対象として非線形超音波法を適用し,き裂開口と非線形挙動に一定の関係があることを示した。また,超音波の入射波振幅以下の極微細隙間を持つ欠陥により起こる2次高調波振幅を用いて,不完全接合部や応力腐食割れなどを画像化することに成功した。 4.直流電位差法の高感度化 肉厚40mmのステンレス製配管の配管外壁を局所的に加熱しながら電位差を測定することで,配管内壁に導入した深さ9mmの放電加工スリットが良好に検出できることを確認した。さらに四端子の繰返し接触機構等を付与した直流電位差法センサを開発し,従来法を飛躍的に上回る高精度な表面電位差計測を実現した。 5.複合化による評価の高信頼化 超音波探傷法,非線形超音波による探傷法ならびに高感度直流電位差法のき裂評価能力を種々の試験体を使用して比較し,複数の技術の併用が高信頼化の鍵であることを示した。
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