配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2006年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2005年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2004年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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研究概要 |
血管平滑筋細胞の壁内での力学環境を推定するため,平滑筋細胞の力学特性を計測するとともに,血管壁内の微視的残留応力を計測した.即ち,1)現有する細胞用引張試験機で種々の条件下の血管平滑筋細胞の準静的引張特性を計測した結果,力学特性の変化は細胞内アクチンフィラメント(AF)の走行変化でよく説明できることが判り,2)引張試験機を粘弾性特性が計測できるよう改良し,平滑筋細胞の弛緩状態の応力緩和特性を計測した結果,応力緩和は時定数1分程度の受動的な応力緩和と1時間程度のAFのリモデリングが関与する能動的な応力緩和の二つからなると考えられることが判った.また,3)無負荷状態の大動脈壁内平滑筋細胞に作用する残留応力・ひずみを細胞核の形状変化から見積もる方法を確立した.即ち,単離細胞の核の長さが組織内での値になるよう引張試験機で引張を加えた際の張力と伸びから平滑筋細胞の組織内ので残留ひずみはと応力を推定したところ,それぞれ23%,10kPa前後であった.更に4)凍結下に薄切した血管壁試料から酵素処理などにより弾性板を単離した際の弾性板の形状変化を観察した.壁内で蛇行する弾性板が酵素処理でほぼ直線状となり,蛇行が圧縮の残留応力による座屈であることが判った.また,単離弾性板の力学特性を細胞用引張試験機で計測した結果,弾性板の公称応力-伸び比関係はほぼ直線であり,ヤング率は440kPa程度であることが判った.5)この結果に大動脈の内圧-外径関係を当てはめたところ,内圧100mmHgの生理状態で弾性板に80kPaの張力,平滑筋には最低でも40kPaの張力が作用していることが判った.しかし,この値は円周方向応力の平均値100kPaと比べ低かった.この不一致はコラーゲン線維の影響を評価していないこと,平滑筋の力学特性が弛緩状態で計測されたものであることなどによると考えられた.
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