配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2006年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2004年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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研究概要 |
本研究では,Bi2223/Ag/Ag alloy酸化物高温超伝導複合線材について,微視的構成要素の力学特性の高精度直接評価法を確立した.評価結果を加圧焼成法による高性能線材に適用し,熱履歴や外的な荷重に対するひずみを解析することにより,力学特性が超伝導特性に及ぽす影響とその向上手法を体系化した.本研究の成果は次のように要約される. 1.Bi2223/Ag/Ag-ally複合線材において,Ag alloyのみを溶解した線材の引張り試験を行ない,特殊な超軽量伸び計を用いることで,応カ-ひずみ関係を精密に測定した.このAg alloyのみを溶解した線材では,Agが負担する応力が低いため,Bi2223の力学特性を直接に近い形で評価することが可能である.この新しい評価法をAg alloy溶解法として提案した.加圧焼成法を用いた材料に関しては,弾性率が160-170GPaと非常に高いことが証明された.また,従来材では,弾性率の評価値がフィラメント抽出試験で求めた弾性率と一致することを明らかにし,本評価法の信頼性が裏付けられた.弾性率に関して,加圧焼成を行うことにより向上が認められたが,加圧焼成を行った異なる線材間での差は認められなかった. 2.複合線材においては各構成要素に複雑な熱残留応力が作用しているため,従来の方法ではBi2223フィラメントの破断ひずみの特定が困難であった.Ag alloy溶解法を破断ひずみにも適用した場合,熱残留ひずみは破断ひずみの5%程度であり,0.08%の微小な破断ひずみを高い精度で確定することができた. 3.製造時から出荷時の検査等すべての履歴を配慮した熱サイクルの影響を組入れ,かつ,低温での引張り試験と超伝導特性の同時測定の結果から,複合線材の破断前にフィラメントが破断する事実を組入れ,複合線材の各要素の熱残留応力の検討を行った.また,銀合金に関しては,ヴィッカース硬度から応力ひずみ関係を推定した.構成要素の応力ひずみ関係の積上げにより推定した複合線材の応力ひずみ関係は,実験値によく一致した.すなわち,開発した方法で複合線材中のフィラメントの破断ひずみが正しく評価できることが証明された. 4.フィラメントの破断ひずみに関しては,線材作製方法による変化は認められなかった.すなわち,加圧焼成法によって,電流輸送特性および弾性率は向上するが,破断ひずみの向上は実現しなかった.
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